この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

朗読で師範代を虜にする声の持ち主、中原洋子は即興で伊藤若冲を歌い上げる。『銀河鉄道の夜』と『月の砂漠』と『CARAVAN』を三位一体で繋いでスウィングし、文学と音楽を対比する。「読んだら歌うか、書くかでアウトプットするものでしょう」。本陣の軽井沢から日夜、冊師としての激も飛ばす。
ジョージア・オキーフの写真集と『感ビジネス』を愛読する平野しのぶ。近代写真の父スティーグリッツの先鋭眼に、編集力を感知しほくそ笑む。「編集できないものなんてないですよね。場回しも料理も、その場の素材を組み合わせてコンテキストが出来上がる。これは仕事の基本です」意気揚々だ。
アートを愛し、借景を好み、些末事に左右されない人生を謳歌している(ように見える)二人には多数の共通項が存在している。48[守]師範という中間子ロールもその一つだ。師範は、師範代と社会、方法と指南のアイダをつなぎ、教室の裏と表でクォークの如く蠢いている。来月開催のエディターシップ・トライアル2022に向け、初出のデータを解析する社会実験のアナリストでもある。
『編集力チェック』に集まった回答は現在50余、急ピッチで工学的アーティキュレーション(分節化)が試されている。集積データを元に、特別仕立ての[守]エディットツアーを振る舞う楽屋裏は忙しい。情報は見方次第で多面的で多様な顔をもっている。リアリティとともに浮かび上がるターゲットは予測不可能で、大いに可変するだろう。
「数奇」溢れるあなた、「不足」だらけの貴方、ピンときたらばまずは『編集力チェック』へ来られたし。4月開講の49[守]に先立つ3月6日(日)午前と午後の2回、豪徳寺の本楼から2万冊の本を背景に、オンラインでのおまかせエディットツアーも開催される。いまならワンコインのおまけもあるらしい。首謀の二人のインストラクションも待っている。
<詳細・申込>
編集力チェック!(Editorship Trial 2022春)
イシス編集学校の「お題」をオンラインで無料体験! 所要時間は約2分。まずはご自身の編集力をチェックしてみませんか?
2022年3月6日(日) [守]2022春 おまかせエディットツアー(オンライン・Zoom)
イシス編集学校基本コース[守]の指導陣が編集ワークを直接ナビゲートする特別仕立てのオンラインワークショップです。午前ツアー(10:30~12:00)と午後ツアー(14:00~15:30)から、ご希望の時間帯をお選びいただけます。
平野しのぶ
編集的先達:スーザン・ソンタグ
今日は石垣、明日はタイ、昨日は香港、お次はシンガポール。日夜、世界の空を飛び回る感ビジネスレディ。いかなるロールに挑んでも、どっしり肝が座っている。断捨離を料理シーンに活かすべくフードロスの転換ビジネスを考案中。
【花伝所プレゼンツ・エディットツアー】2/22(土)直伝!わかるとカワル、「他力」の編集術とは?
デジタルツールが発達し、世界中の情報が一瞬で入手できるようになった反面、言葉はフラット化しています。 「わかること」だけが判断の基準になりつつある現代に、違和感をもっている人は少なくありません。「わからないこと」の複雑性 […]
▼怒涛の卒門から約一か月前、一月十四日の見聞録である。52[守]の合同汁講が開催された土曜日、全9教室から学衆や師範代、[守]指導陣にマレビト花伝師範らも連なって総勢46名が本楼に参集した。師範ロールの醍醐味は、フェーズ […]
ソンタグ的40[花]キャンプ・ノート Notes on Flowering-spirit Camp by Sontag mode
▼12月の夏日、凌ぎを削る熱帯夜 2023年12月15日、気象庁の観測史上133年ぶりに師走の最高気温を更新し、昼より夜が暑いという奇天烈な夏日(25℃以上のことをいう)を日本各所で記録した。 同夜、花伝所の演習風景は全 […]
「わたしを擬くAIに編集される私」エディトリアル・レポートvol.3【共遊篇】
問いに始まる、エディターシップ・トライアル2022春の『編集力 チェック』。一つめの質問「すきなものを3つ挙げてください」には全114名342個の数奇が寄せられました。アナロジカルな分析に挑んだのは48[守]師範代と師 […]
「アンビバレントな’感’の行方」エディトリアル・レポートvol.2【照応篇】
問いに始まる、エディターシップ・トライアル2022春の『編集力チェック』。一つめの質問「すきなものを3つ挙げてください」には全114名342個の数奇が寄せられました。アナロジカルな分析に挑んだのは48[守]師範代と師範 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。