編集みっけ!――勧学会に飛び出したザリガニたち

2022/04/30(土)14:03
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 49[守]定常コースがスタートして3日目の昼。

 まだ自己紹介も始まっていない脱皮ザリガニ教室(古澤正三師範代)の勧学会に、一人の学衆が登場した。「昨日面白い体験をしたので独り言で書いときます」 その体験とは、皿洗いという日常のなかに「編集」を見つけた、ということであった。


 「これって編集?」って感じがして、笑いながら楽しく皿洗いをしたのです。

 

 皿を洗う順番、水切りに置く順番、そして食器棚にしまう順番を考えているうちに、そのことに気づいたという。

 別の学衆も、「私も似たような体験をしました」と続く。ラタンのランチョンマットを干すのに、ちょうどいい洗濯ばさみを見つけられず、キッチンタオル用のフックで代用したときに、「これは編集なのでは」と感じた、と綴った。学衆たちの、既知から未知への旅立ちは上々だ。

 編集で世界は変わる。そして身近な光景にも、別様の可能性があることを感じられるようになるのが[守]なのだ。学衆は、早くも変わり始めている。校長の松岡正剛が言うように「変化することが、この世でいちばん不変なこと」。編集ザリガニたちは、何回脱皮するだろうか。

 

写真/古澤正三

 

まだ間に合う49[守]速修コース!

 

 

  • 嶋本昌子

    編集的先達:ハービー・ハンコック。全身ラテンは伊達じゃない。毎週フラメンコのタブラオで踊っていた情熱のお侠師範。流暢な英語を操るバイリンガルだが、気持ちが昂るとナチュラルに関西弁が出る。丸の内朝大学以来の校長のお髭ファン。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。