【多読アレゴリア:軽井沢別想フロンティア倶楽部】別想の軽井沢で自分だけのトポスを深掘りしてみる

2025/02/07(金)12:00
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 こんにちは 軽井沢別想フロンティアの守り人モリーナです。

 私たちの倶楽部は、軽井沢をリアルにもヴァーチャルにも徹底的に愉しもうというコンセプトのもと生まれました。目指すのは別荘開拓ならぬ「別想開拓」です。

 

●軽井沢に眠る記憶

 

 軽井沢という土地には、ただ自然が美しいとか別荘生活が優雅であるとか、そういった外側の印象だけではなく、もっといろいろな側面があります。古くは縄文時代から高原一帯に集落が形成されていましたし、中世から江戸時代にかけては宿場町として大いに賑わい、明治以降は避暑地という土地柄から、ダイレクトに日本の近代化と国際化に関わっています。とても多くの記憶が眠っている場所(トポス)なのです。その記憶を掘り出して「別想の軽井沢」を開拓しよう、というのが我が軽井沢別想フロンティアの目的です。

 


  軽井沢別想フロンティアの2024冬のテーマは「しんしん・軽井沢」でした。別荘ならぬ別想の開拓にあたって必要なのは、「想像力」と「好奇心」。倶楽部メンバーは「しんしん」から連想を広げ、自分にとっての「これぞ!」という特別な場所(トポス)を選びました。なんと汁講で訪れた師範代のご自宅をトポスに選んだ方もいました。

 視座を変えたり、クロニクルを調べたり、気づきを深めてくれそうな本と繋ぎながらトポスを深掘りしていくうちに、新たな問いや気づきが生まれます。

 

「自然と共存共生していた縄文文化は現在の軽井沢の手本としたいよね」
「松ぼっくりの螺旋にフィナボッチ数列が現れるなら、森や峠の標高にも法則の翳が現れないかしら」
「森で独りになる時間、自分を取り戻すことは誰もに必要なことです」

「常ならぬ変化を受け入れ、再生し、何かを産み出してきた町ですね」

 

 トポスを語るオンラインセッションで、皆が共通してあげていたのは、軽井沢には、いろいろな意味で人間を孤独にさせてくれるところがあるということでした。

 独りになる時間は、自分を取り戻す時間であり、そこから新たな何かが生まれてくることがあります。その生まれてきたモノやコトを表象化することは、自分のみならず他人や社会を癒すことに繋がるのではないでしょうか。

 

トポス(topos)とは何かが喚起される場所。トポスから何かを取り出す術や方法をトピカ(topica)、トピカによって記憶再生された情報をトピック(topic)、と古代ギリシャの人々は呼んでいました。

 

軽井沢が懐かしいの。軽井沢の冬の匂いを思い出すと、時々、涙が出てくる。凍った雪の匂い。甘く澄んだ空気の匂い……。

私ね、あれからしょっちゅう軽井沢には行ったけど、冬だけは行かなかった。行けなかったの。

ー小池真理子. 冬の伽藍 ー(講談社文庫)

 

雪の匂いは、土に含まれた土壌細菌の匂いです。それゆえその土地によって匂いは違います。軽井沢の雪の匂いは甘い薄荷水のような香りがします。まさにその土地ならではの匂いが嗅覚を刺激して、軽井沢在住の作家、小池真理子に甘く切ない恋物語を書かせました。軽井沢だからこそ書けた作品なのです。

 

 自然もまた新たな作品を作ります。浅間山の噴火は、或る村を壊滅させたけれども、火山灰に含まれたミネラルは妻恋高原キャベツを生み出しました。

 

 

● しんしんからさわさわへ

 

 様々な視座に立ち、トポスに新たな意味を見いだしたメンバーたちは、現在、お互いのトポスを巡る地図を作成し、紀行文を絶賛執筆中。彼らのトポスからどんなトピックが取り出されるのか、見守る守り人たちはワクワクドキドキしています。たくさん集まったら、軽井沢別想ガイドブックができそうです。トポス巡りは新たな軽井沢の愉しみとして人気が出るかもしれません。

 

 しんしんからさわさわへ、季節と共にテーマも移ります。あなたも春の軽井沢で別想開拓に参加しませんか。実際に軽井沢で季節の香りを嗅いだり、音に耳を傾けるもよし、想像で軽井沢の道をあるいてもよし。あなたならではの別想の軽井沢を愉しみましょう。
どいぞ奮ってご参加ください。

 

●もっと知りたい軽井沢別想フロンティア

 

【多読アレゴリア:軽井沢別想フロンティア】軽井沢にべつそうを!

【多読アレゴリア:軽井沢別想フロンティア②】灰色の背広を脱ぎ捨てて

 


多読アレゴリア2025春「軽井沢別想フロンティア」倶楽部

【定員】20名

【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025haru

【開講期間】2025年3月3日(月)?2025年5月25日(日)

【申込締切】2025年2月24日(月)

【受講資格】どなたでも受講できます

【受講費】月額11,000円(税込)
 ※ クレジット払いのみ
 ※ 初月度分のみ購入時決済
 以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
 例)2025春申し込みの場合
 購入時に2025年3月分を決済
 2025年3月26日に2025年4月分、以後継続

 ・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
 ・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。

【お問合せ】allegoria@eel.co.jpまでご連絡ください


 

【2025春 多読アレゴリアWEEK】

2025春 始動★多読アレゴリア募集スタート!!!!!

 

▼着物コンパ倶楽部

New! 2025春に始まります〜(vol.1)

 

▼MEditLab for ISIS

編集術を使って、医学ゲームをつくる!?

 

▼勝手にアカデミア

はとさぶ連衆は鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻

 

▼軽井沢別想フロンティア倶楽部

別想の軽井沢で自分だけのトポスを深掘りしてみる

 

アイキャッチ画像:軽井沢別想フロンティア×山内貴暉

  • 中原洋子

    編集的先達:ルイ・アームストロング。リアルでの編集ワークショップや企業研修もその美声で軽やかにこなす軽井沢在住のジャズシンガー。渋谷のビストロで週一で占星術師をやっていたという経歴をもつ。次なる野望は『声に出して歌いたい日本文学』のジャズ歌い。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。