この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

好評につき、多読アレゴリアの申込受付を12月1日(日)まで延長しました。なお、どのクラブも定員に届き次第募集終了です。すでに締切間近のクラブもいくつかあるので、希望のクラブに絶対入りたいという方はお早めの申込をオススメします!!!!!
冨山和彦は『ホワイトカラー消滅』(NHK出版新書)で、今日のオフィスワーカーの働き方が危機だと指摘し、江戸時代の庶民の価値観に学ぶ必要性を説いた。行き詰まってくると、過去にヒントを探りたくなるのが人情だ。さりとて江戸時代に学ぶとはどういうことか。
そもそも江戸時代とはどんな時代だったのか。265年間続いた平和な時代、二本差しのサムライが闊歩する時代、吉原に遊女がいて、来年の大河の主人公・蔦屋重三郎がのしあがった時代、浮世絵、黄表紙、寺子屋が立ち並んだ時代 etc.・・・・・・一口に江戸と言っても浮かぶ姿は混沌としている。だが、日本独自のものの見方や技術、アプローチが開花した時代であることは間違いない。現代の私たちをも惹きつける何かが、確かに「江戸」にはある。
EDO風狂連は、そうした江戸の「方法」を掴み、まなんでゆくクラブだ。長年、江戸文化を研究してきた田中優子氏を「宗風」(クラブ長)に迎える。最初のシーズンは次の3つの柱で稽古が進む予定だ。
(1)読んだり書いたり「読相練磨(どくそう れんま)」
田中優子宗風の『蔦屋重三郎――江戸を編集した男』(文春新書)を中心に、複数の本を取り上げ重ね合わせ、読む・書く技術を磨く。ほか、複数の自分(アバター)を巧みに使い分けていた江戸人にあやかる。そんな稽古もある。
(2)読んだり詠んだり「書屋俳諧(しょおく はいかい)」
複数人で長句と短句を交互に詠む「連句」を巻く。連句の経験がない人でもご安心を。肩慣らしの稽古から入っていく。イシス編集学校の人気講座「風韻講座」で供されていた連句の楽しさをおすそ分け、というわけだ。
(3)行ったり見たり「遊山表象(ゆさん ひょうしょう)」
リアルの場で優子宗風の講義を受け、宗風を囲んで交わし合いを行う。松岡正剛校長がエディトリアル・ディレクターを務めた『アート・ジャパネスク 日本の美と文化』を使い、江戸時代の区分について理解を深める。加えて、江戸らしい風狂なお遊びも行う予定だ。
▲「趣向あるいは世界を同じうする連中」がつながり、遊び合うのが「連」
(出典)「吉原大通会 : 3巻」(国立国会図書館) (https://dl.ndl.go.jp/pid/9892509/1/10)を加工して作成
3つの稽古を通して、「そもそも江戸時代とはどんな時代か」が腑に落ちてくるだろう。日本文化の深奥に迫りたい人から、俳句を詠むのに憧れる、江戸時代に転生したい、枕絵に度肝を抜かれたことがある……といった人まで、多彩な動機で馳せ参じてくれることをEDO風狂連は歓迎する。
イシス編集学校の経験者は言うまでもなく、未入門の人も対象に幅広くメンバーを募っている。ただ、ひとつお願いがある。徐々に稽古が深まるように構成されているため、ぜひ一年間続けて受講してほしい。残席はわずかである。
文:吉居奈々
アイキャッチ画像:EDO風狂連×山内貴暉
多読アレゴリア【EDO風狂連】
【定員】20名
【開講日】2024年12月2日(月)
【申込締切日】2024年12月1日(日)(定員に達し次第締切)
【受講費】月額11,000円(税込)*リアル開催の座(イベント)は別途会費制
*2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【開催期間】2024冬 2024年12月2日(月)~2025年2月23日(日)以後順次決定
お申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/765
よみかき探Qクラブ②:12/15(日)顔合わせ共読会は千夜千冊1540夜『想像力を触発する教育』
EDO風狂連(田中優子監修):EDOで別世が立ち上がるーーEDO風狂連花鳥風月之船立
EDO風狂連②:「江戸に学ぶ」というけれど
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勝手にアカデミア③:2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。