津田一郎監修クラブ【カオス的編Rec】誕生!科学的読書法に学び、「Qの地図」を描く

2025/04/28(月)12:00
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世界観を「問い」で育む

「カオス的編Rec」は、ISIS Co-missionのお一人、津田一郎さん監修のもと、サイエンスの方法を借りて「問い方」を学ぶ多読クラブです。

「なぜ?」「何?」と日々浮かぶ疑問のほとんどは、答えらしきものに即座に塗り替えられたり、問うまでもないことと埋められたり、泡のように消えてしまったりするものでしょう。
問い方を見失ってゆくことは、松岡校長が『知の編集工学』で警鐘を鳴らした「世界モデルが摩耗している」とも深くつながっています。

 

多読アレゴリア「カオス的編Rec」では、世界観を持ちえないのは、問いがないからではないか?という仮説に出発しましょう。

 

サイエンスの「問い方」に学ぶ

ではなぜ、サイエンスなのか。
科学者たちが“パラダイム・シフト”によって打ち立ててきた新たな世界観や、その世界観によって見出された世界モデルは、力強くも小さな問いから芽吹いてきたものでした。

 

 ●科学者たちの「はじまりは問い」

・光と同じ速さで飛んでいるとき、鏡に自分は映るのか?から発見されたアインシュタインの「光速度一定の法則」。
・「平行線が交わる世界があるとしたら?」から生じた非ユークリッド幾何学。
・量子は波でもあるのでは?から一気に転じた量子力学。

 

どれもその条件ひとつで、ガラリと世界観を変えてきた問いたちです。そして、津田さんの「数学は心だ」もそう!
数学という学問の本質は何だろうか、から、人の心の動きがまさに数学によって表現されているのではないか?へと進んだ津田さんの問いの変遷も見逃せません。

 

近代科学は、決定論的な因果関係にもとづき、また部分に分解し分析的に物事を見ることによって、自然の姿をつまびらかにしてきました。けれど、ゲーデルの不完全性定理や、ポアンカレによるカオスの発見は、私たち人間が自然、ひいては世界を理解するとはどういうことなのか、と見方を問い返します。

オーストリアで不完全性定理が証明されようとしている頃、日本では寺田寅彦がこのように語りました。

全くこのごろは化け物どもがあまりにいなくなり過ぎた感がある。
[…中略…]
化け物がないと思うのはかえってほんとうの迷信である。 宇宙は永久に怪異に満ちている。 あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。 それをひもといてその怪異に戦慄する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。

寺田寅彦 『化け物の進化』

 

注意のカーソルを鋭敏にし、「驚き」をもって、怪異に満ちた世界に出会い直しにいきましょう。

津田一郎さんを「質長」として迎え、ご一緒するのは、寺田充宏(盤頭)、梅澤光由(霊頭)、稲垣景子(物頭)の3名です。
みなさんとともに、読書と問いの遍歴をめぐり、サイエンスとエディティングの交差点に立ち会うことを胸踊らせて楽しみにしております!

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●どんなクラブ?
 本を読むことを通して世界に対する問いをつくる、世界を問う仮説をつくる方法を学ぶ。
 ※お題を通じて進んでいくスタイルです。

●目指す南
 津田さんの科学的読書法を参考にしながら、自ら問いを立て、多様な世界観を更新していける感覚をつかむ。

●どんなことをするの?
 ・目次読書
 ・問い方をまなぶ、実践する
 ・仮説を立てる、実践する
 ・日本的科学思考を取り扱う
●準備するもの

 ・『初めて語られた科学と生命と言語の秘密』松岡正剛・津田一郎(文春新書)
 ・『問いの編集力』安藤昭子(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
 ・『精神指導の規則』デカルト(岩波文庫)

 

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多読アレゴリア カオス的編Rec
・定員  :30名
・申込締切:5月26日(月)
・開講期間:6月2日(月)~8月24日(日) ※まずは3ヶ月限定の開講を予定
・受講費 :月額11,000円(税込)
 ※2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
  1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、
  そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。

・申し込み:https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer?variant=42353092722797

 

2025夏 多読アレゴリアWEEK

募集開始★多読アレゴリア 2025・夏スタート!!!!!!!

 

▼倶楽部撮家

写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた

 

▼カオス的編Rec

津田一郎監修クラブ【カオス的編Rec】誕生!科学的読書法に学び、「Qの地図」を描く

 

  • 稲垣景子

    編集的先達:小林賢太郎。季節なら夏、花なら向日葵、動物なら柴犬。プロ野球ならドラフト1位でいきなり二桁勝利。周りまで明るくする輝きと愛嬌、ガッツとエネルギーをもち、ボルダリングからラクロスまでをこなす。東大からウェディングプランナー、ITベンチャーへの転身も軽やかにこなす出来すぎる師範。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。