この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

第83回感門之盟「EDIT TIDE」で第十六綴[物語講座]の授賞式が行われました。落語賞・ミステリー賞・幼な心賞・トリガー賞・編伝賞・冠綴賞の結果を速報でお届けします。
◇◆窯変三譚◆◇
物語講座のトライアスロンと呼ばれる「窯変三譚」。陶芸用語である窯変は、素焼き状態の物語を窯にいれて変容させるという意味が込められています。叢衆は、ひとつの物語の素焼きから、まったく異なる3つの物語(落語・ミステリー・幼ごころ)を創作します。
◇窯変落語賞◇
受賞者には、お題とご本人の作品にちなんだ書籍が贈られます。十五少年七官界文叢の井出武志さんには、中村昇 著『落語─哲学』が贈られました。
西行花伝タンゴ文叢の勝田隼一郎さんへ講評を伝える大久保佳代師範。勝田さんにはル=グウィン短篇選集『現想と幻実』が贈られました。
◇窯変幼な心賞◇
リチャード・パワーズの『惑う星』を受け取るヌメロ・ペンギン文叢の細井あやさん。「水泳の北島康介選手が”なんもいえねぇ”という言葉を放った瞬間に近づきたいと思っていた。この講座で目標にたどり着くことができた」と話した。
◇◆トリガー賞◆◇
叢衆ひとりひとりに異なるお題が与えられる「トリガー・クエスト」。叢衆は予期せぬ偶然をトリガーにして冒険的創作にむかいます。
読者の魂に触れるような物語のメッセージについて考えたという家守ライ麦文叢の鈴木大樹さん
◇◆編伝賞◆◇
物語講座の最後のお題となる「編伝1910」。1900年代初頭に生きた人物をキャラクターとして設定し、12000文字の物語を書きあげます。「実在の人物」というファクトを通して、物語という方法でその時代を「読む」「書く」お題です。
西行花伝タンゴ文叢の勝田隼一郎さんへ松岡校長の著書『うたかたの国』が贈られた。実は既にお持ちだそうで、「校長の本ですから」と笑みをこぼした。
◇◆冠綴賞◆◇
ミステリー賞と編伝賞をダブル受賞された西行花伝タンゴ文叢 勝田隼一郎さんが最優秀賞にあたる冠綴賞を受賞しました。おめでとうございます!
冠綴賞を受賞した勝田さんには、カバー付きの綴墾巻が贈られました。
ビジュアルデザイン:穂積晴明
写真:福井千裕
阿部幸織
編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。
■多読アレゴリアという問い 多読アレゴリアは、編集しながら編集を学ぶプロジェクトだ。 豪徳寺本楼で開催された工冊會(こうさつえ)で、金宗代代将はそう切り出した。プランニング編集術でいうところの […]
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。