守はますますラディカルに:康代学匠メッセージ【82感門・51守】

2023/09/16(土)22:08
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期を追う毎に加速が止まらない「守」は、編集学校で学衆が最初にくぐる門。前期では特別講師を招いた講義「編集宣言」が加わえられた。AIDAボードメンバーを特別講師に招き、下り坂日本をどう編集していくのか指南を受ける。そして今期[51守]は稽古のスピードアップを目論んだ。開講期間を17週間から15週間に。速さは深さにつながるのだ。
 
講師に招いた大澤真幸氏の言葉を胸に刻んだ51守学衆はどのような物語を紡いだのか。講座を率いる鈴木康代学匠が今期の動向を語った。
 
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  • 再生する学衆

注意のカーソル」、「フィルター」といった編集学校独特の用語。学衆は未知で異質な言葉にはじめ戸惑ったが、自らの言葉を見つめなおす契機とした。硬直化していた言葉を、ほかの言葉と照合し、アブダクションを通して、言葉の奥にあるものを編集するという不思議な体験。学衆は言葉をあらためて覚えていく、子供の頃の感覚に酔った。
 

白状する学衆

講座後半、学衆は師範代の名ワキ役っぷりに触発され、自らの不足、不得手を教室の中で語り出した。炎上を怖れて世間で口にだせないことを、稽古の中で表沙汰にしていく。世界や社会や我々に絡みついた不足に向き合い披瀝するエディット・デモンストレーションの芽が顔を覗かせていた。
 

邂逅する学衆

世代をまたぐ編集学校は様々な縁を生んできた。大学生と30年来の松岡ファンなど、親子ほどの年齢差の学衆がセレンディップに出会うことで想定外を生んでいった。
 
振り返りの場であると同時に、松岡校長が居合わせる一座建立の場でもある感門之盟。康代学匠は「この機を次の編集道に向かう時間とできるように」と言葉を結び、深く丁寧に頭を下げた。
 
  • 西宮・B・牧人

    編集的先達:エルヴィン・シュレーディンガー。アキバでの失恋をきっかけにイシスに入門した、コンピュータ・エンジニアにして、フラメンコ・ギタリスト。稽古の最中になぜかビーバーを自らのトーテムにすることを決意して、ミドルネーム「B」を名乗る。最近は脱コンビニ人間を志し、8kgのダイエットに成功。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。