この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

『言葉の本質』(今井 むつみ 、 秋田 喜美 中公新書)がベストセラーになっている。オノマトペを手がかりに、アブダクションにより、言葉と身体の関係、本質に迫っている。chatGPTが予想を超えた勢いで広がる世の中で、言葉の力に皆が注意を寄せているからだろう。
感門之盟が始まる前に、イシスのジャイアン、角山師範とジャイ子、一倉師範代は、言葉を使った稽古、ミメロギアで、参加者を出迎えた。イシス編集学校の[守]の名物お題、ミメロギアは一対の言葉をアナロジー、コンパイル、編集の型を駆使して組み立てていく。出されたお題は、「デーモン・ホルモン」。参加者は、即答で次々にzoomのチャットに回答を書き込んでいく。
角山師範と一倉師範代はzoom参加の皆さんから届けられる回答に楽しげに目と向けていたが、瞬時に師範の目、師範代の目で、回答をキャッチしていく。
「舌なめずりのデーモン・舌鼓のホルモン」
「こと切れぬデーモン・噛み切れぬホルモン」
「閣下のデーモン・かっかのホルモン」
「プログラムのデーモン・100グラムのホルモン」
次々に届けられる回答に会場も大賑わいだ。
ラストには、51[守]の学衆が親子で編集した回答が寄せられた。
「惨殺のデーモン・屠殺のホルモン」
親子で編集デーモンになる日は近い。
角山師範の前説は明日、9月17 日も12:30にスタートする。
北條玲子
編集的先達:池澤祐子師範。没頭こそが生きがい。没入こそが本懐。書道、ヨガを経て、タンゴを愛する情熱の師範。柔らかくて動じない受容力の編集ファンタジスタでもある。レコードプレイヤーを購入し、SP盤沼にダイブ中。
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散る花を 惜しむ心や とどまりてまた来ん春の 種になるべき(西行) 春にもかかわらず、夏日や冬並みの寒さが交互にやってきたり、四季の感覚がすっかりおかしくなってしまったが、散る桜を惜しむように […]
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。