この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

第82回感門之盟もいよいよクライマックス、待ちに待った「冠界式」がはじまった。来月開講の第52期[守]基本コースで登板する師範代たちの教室名が一挙に発表される。校長・松岡正剛直筆の教室名カードとともに、唯一無二の教室名をどどどどっとお楽しみいただきたい。
▲冠界式直前に「その時」を待つ、初登板から3回目のベテランまで19人の師範代たち。いまの心境を尋ねると「はやく知りたいです!」「なんでこの登壇順番なんだろう」「どんな教室名でもありがたくいただきます」などの声があがっていた。
▲舞台にあがった師範代への教室名発表を「ドラムロール」で盛り上げたのは、師範代たちの”ご先祖様”ともいえる仁科玲子。まだ花伝所もない時代の第1期[守]コースで「白いバイエル教室」の師範代を務めた。学生時代はパーカッションに夢中になり、いまはギタリストでもある。
◎町田有理師範代/校長バージョン教室
◎野崎和彦師範代/はじき・おはじき教室
▲師範代代表スピーチで壇上にあがったのはカミ・カゲ・イノリ教室の内村放師範代。「1年前には想像もしてなかった場に立っている。イシス編集学校に入って最初の衝撃は基本コース[守]の「コンビニにないもの」というお題だった。その後もたくさんのさしかかりを連れてきてくれたのが「ないもの」だった。[守][破]ではたくさんの「不足」を抱えながら、仲間に引き寄せられるように言葉をつくっていくことで「ない」ものが新しい自分を生み出してくれた。そして[花伝所]で出会ったのは、「ないもの」が「方法」と交じることでものごとが前に進むこと。ここまで自分を導いてくれた「ない」という編集は、未知なる世界へ誘う「鍵」とも言える。これからも「ないもの」を見たことのない世界をひらく兆しととらえて、ありえない冒険に旅立っていきたい」
教室名カードを手にした新師範代たちの表情には、得体のしれないものが漲っているようだった。
52[守]は2023年10月30日(月)開講!新師範代たちが待つ教室への入口はこちらです▼
https://es.isis.ne.jp/course/syu
(テキスト・レイアウト:福井千裕)
(集合写真撮影:本城慎之介)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行っ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。