この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

オテンバが点呼を待たずに飛び出した。
2025年5月12日12時。55[守]の18教室に田中優子学長からのメッセージが届いた。石田利枝子師範代がすかさず先陣を切り、斜線オテンバ教室に登場する。学林局の開講案内に先んじ、ナナメにカットイン。そのオテンバぶりに早くも教室の「らしさ」が漲る。
石田の突出も当然だ。55[守]師範代はゴールデンウィーク前から用意を尽くしてきている。じっくりと田起こしをし、水を張って念入りに代掻きをするように教室のしつらえを整えてきた。学衆を教室でもてなす準備は万端だ。
守学衆も負けてはいない。12時20分に山派レオモード教室のH、3分後にはゴリ夢中教室のWと続々と勧学会に声が届く。55[守]初回答が届いたのもゴリ夢中教室だ。出題から32分という学衆Nの驚速ぶりに、本日休みをとって万全を期した菅井明子師範代さえ舌をまく。
百禁タイムズ教室では学衆同士の共読が早くも芽生え、彩回答まで届いた。回答の目安の数を見逃したという呟きを拾い、自分もと学衆Sが届けた追加回答に画面の向こうの山下雅弘師範代もニンマリしているはずだ。
開講から12時間に繰り広げられた師範代と学衆の応答は400を超えた。夢中は日付が変わっても止まらない。畝に稲が並ぶようにエディットカフェ上では師範代と学衆の交わし合いが連なる。55[守]の春はこれからだ。実りの秋に向け、師範代たちの眠らない夜が始まる。
アイキャッチ・文/佐藤健太郎(55[守]師範)
佐藤健太郎
編集的先達:エリック・ホッファー。キャリアコンサルタントかつ観光系専門学校の講師。文系だがザンビアで理科を教えた経歴の持ち主で、毎日カレーを食べたいという偏食家。堀田幸義師範とは名コンビと言われ、趣味のマラソンをテーマに編集ワークを開催した。通称は「サトケン」。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。