この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

52[破]は開講から1か月で、最初の山場を迎えた。本日5月19日(日)18:00、第1回アリスとテレス賞「セイゴオ知文術」のエントリーが締め切られた。千夜千冊をもどいて一冊の本について書くお題で競う。
10教室・学衆73名中、エントリーしたのは57名。ダイモーン維摩教室、蝶か釣果教室は全員エントリーを果たした。おめでとう!! 選評委員(木村久美子月匠、[破]の師範、番匠、評匠、学匠)は、それぞれ全エントリー創文を読んで選評会議に臨む。結果発表は6月上旬。全エントリー作品に講評がつく。
では、課題本の人気ランキングを発表する。( )内は前回の順位。
1位『あなたの人生の物語』テッド・チャン 11点(6位)
2位『心はすべて数学である』津田一郎 8点(2位)
3位『地球にちりばめられて』多和田葉子 7点(2位)
『虫と歌 市川春子作品集』市川春子 7点(9位)
5位『悪童日記』アゴタ・クリストフ 6点(1位)
『フラジャイル』松岡正剛 6点(4位)
7位『生命誌とは何か』中村桂子 5点(5位)
8位『東京プリズン』赤坂真理 4点(7位)
9位『文字逍遥』白川静 2点(10位)
10位『椿の海の記』石牟礼道子 1点(7位)
『あなたの人生の物語』と『虫と歌 市川春子作品集』が人気急上昇。52[破]はSFづいているのか? 『心はすべて数学である』と『地球にちりばめられて』もひきつづきたくさんの読者を得た。
課題本同士は、地下でつながっているようなところがある。文字や言語、子どもの視点、生命の進化といったテーマをもつグループがある。時空を行き来するノンリニアな手法は、カオス理論に通じるともいえるのか。すべての奥にはフラジリティがひそんでいる。師範代は、開講3週目に師範や番匠・評匠とともにオンライン読書会をもってセイゴオ知文術に備えた。学衆の選んだ何冊もの本を行ったり来たりしながら、本どうしの響き合いを感じ取る。あちらの本がこちらの本の理解を進めてくれることに、驚きながら指南していたのだ。学衆さんも、もう1冊、2冊と読んでみてほしい。必ず新たな見方を授けてくれる10冊だ。
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
東京の大岡山エリアといえば、東京科学大学(旧・東京工業大学)のある学園都市。にもかかわず、なんと書店がなかったという。そこにできたのが青熊書店だ。 青熊書店は、2025年3月15日に、自由が丘から移転して、 […]
源内さんとハン・ガンが人気【54破】第1回アリスとテレス賞エントリー
「5W1H」という基本の基本ではじまった[破]の稽古。1か月後にはアワードに向けて文章を何度も推敲し、磨き上げるまでに熱を帯びる。本日5月11日、54[破]第1回アリスとテレス賞のエントリーが締め切られた。セイゴオ知文 […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。