この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

7月2日は何かが起こる。必ず起きる。
なぜならこの日、「知の探究者・大澤真幸」が、51[守]スペシャル講義の講師として本楼に登場するからだ。
何が起きるのか。何を起こすのか。
鼓動をさらに高めるべく、2日開催に向けて、明日27日から、イシスの誇る師範数名が、「大澤真幸本を通した大澤真幸ガイド」をお送りする。大澤さんのファンにとっても、大澤さんをにまだ出会ったことがない方にとっても、有意義な内容になっているので、楽しみにされたい。
では「本を通した大澤真幸ガイド」の露払いとして、「遊刊エディスト記事の<キーセンテンス>からみる大澤真幸ガイド」をお届けしよう。
●大澤真幸(おおさわ・まさち)
http://osawa-masachi.com/
1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。京都大学大学院教授などを歴任。現在、月刊個人思想誌『大澤真幸THINKING「O」』刊行中、「群像」誌上で評論「〈世界史〉の哲学」を連載中。
松岡校長いわく「大澤はすぐれて現在感覚に富んでいる社会学者である。自分の専門でしか発言しない社会学者が多いなか、自分たちにふりかかってきた問題に対して見て見ないふりをほとんどしない。しかも、そうした難解な状況を把握して問題をたてるときの手続きが冴えている」(千夜千冊1084夜「帝国的ナショナリズム」)
▲[AIDA]ボードメンバーとして松岡校長や座衆(受講生)と共に、毎期、相互編集を続ける大澤真幸さん。[AIDA]webにも、大澤案の声が多数、紹介されている(写真は[AIDA]webより)
わたしの現在地はどこか。どこから何を見るか。大澤さんの中には常に「問い」がある。
いま私たちは、何百年と続いた資本主義の黄昏時にいるのかもしれません
【AIDA】大澤真幸さんに聞いた「資本主義を乗り越える 日本語的発想とは」
https://www.eel.co.jp/aida/news/interview_board_3_osawa_masachi/
世界をどう見るかを提示しないといけない時期に来ているのに、そういう試みがなされていない
【多読SP読了式】大澤真幸×松岡正剛対談(1)西洋と東洋とイスラームの歴史をつなげて語れる人
https://eel-dev.sakura.ne.jp/post/tadokusp_taidan1/
今、ぼくらが感じている事柄の大きさと、ぼくらが持っている思想とか言語とかイマジネーションの乏しさの間のギャップが極端だと思うんですよ。事柄が小さいからぼくらは考えていないんじゃなくて、事柄は大きいのに、それに対してぼくらが言えることがあまりにも少ない
【AIDA】シーズン1[対談セッション]石弘之*松岡正剛*大澤真幸 Vol.3:生命の定義を変えるーー「連続的なるもの」の生命論
https://eel-dev.sakura.ne.jp/guest/aida-s1-ishihiroyuki-3/
「問い」を支えているのは、圧倒的な知の量と質だ。大澤さんは上から、横から、ナナメから、モノゴトを見る・切る・掴む。
文明にはそれぞれ固有の特徴がある。この文明的定数を見誤ると現在目の前で起きているアクチュアルな出来事、世界情勢も理解することはできないだろう
大澤真幸の四つの”読みスジ”【超人気講座★多読SP】
https://eel-dev.sakura.ne.jp/just/osawa-tadokusp/
千年単位で歴史を見ることと、現代を考えることは直結する
ロシアはヨーロッパなのか 大澤真幸氏の語る「情歴」の読み方とは【イベントレポ】
https://eel-dev.sakura.ne.jp/guest/joreki21_osawa_report/
ひとつ「わかる」と、「わからない」ことが増えていく。「わからなさ」を持ち続けることこそ、大澤さんの方法だ。
みんな簡単に腑に落ちすぎると思いますね。世界はわけがわからないのだ、と気づくことが世界に近づく秘訣です。世界はフワフワしているんですよ
良い本を読むと、腑に落ちないことに腑に落ちる
【多読SP読了式】大澤真幸×松岡正剛対談(2)二人の読書術
https://eel-dev.sakura.ne.jp/post/tadokusp_taidan2/
大澤さんの特別講義は、きっとあなたに多くの気づきをもたらすはずだ。だがその気づきは、10の「わからなさ」を引き連れてくる。
今まで味わったことのない「わからなさ」を受け取る勇気はあるか。
7月2日は何かが起こる。必ず起きる。
(文/角山祥道)
■イシス編集学校第51期[守]特別講義「大澤真幸の編集宣言」
●日時:2023年7月2日(日)14:00~17:00
●ご参加方法:zoom開催。お申し込みの方にzoom URLをご案内します。
●ご参加費:3,500円(税別)
●対象者:未入門の方もご参加いただけます。51[守]受講中の方はそれぞれの教室にてお申し込みください。記録動画は1週間限定で共有されますので、当日ご都合がつかなくてもご参加いただけます。
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
乱世には理想に燃える漢が現れる。 55[守]近大番に強い味方が加わった。その名もハンシ。「伴志」と書く。江戸時代の藩を支えた武士のようであり、志高く新時代を切り開いた幕末の志士のようでもある。近大番が、 […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
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2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。