天高く号砲響き 51[破]スタート!

2023/10/16(月)22:00
img JUSTedit

 運動会にもってこいの秋晴れのもと、走り出したのは児童生徒…ではなくて、イシス編集学校51[破]の学衆たち、総勢65名。10代から80代まで、日本各地いや世界のあちこちで[破]を受講するメンバーだ。


 正午にスタートの号砲が響くと、12:03に平蔵ひたすら教室、12:32分にカンテ・ギターラ教室、12:39には類児・創児教室に00番の回答が届いた。点呼への応答ではない。師範代が点呼をかけるより早く、開講前に投入されたお題(けっこう手の込んだセルフプロフィールお題)を打ち返す学衆たちが登場した。さあゲームの始まりだ。

 

 問いのボールを受けて、すぐにシュッと答えられないのが編集学校のお題だ。正解がないお題といわれるが、問いに幅があるから、その幅のなかに自分なりのQを立てないと回答の一歩が踏み出せない。1-01番「身近で起こった出来事」、1-02番「いま世の中でおおいに気になっていること」…いっぱいあるはずだけど、何を書いたらいいのだろう。自由だからこそ迷ってしまう。 そんなときは、方法、方法! [守]のお題を思い出してほしい。注意のカーソル、あるものないもの、地と図、編集思考素…。断片的な情報を組み合わせて知にしてゆくことが編集だ。さらに[破]では、文体編集術、クロニクル編集術、物語編集術、プランニング編集術を駆使して、見出した知をメディアに載せて生き生きと伝えるところまでもっていく。


 伝わるのか、伝わらないのか? それを見てくれるのが師範代だ。出世魚教室名をもらった感門之盟から1か月、伝習座、師範との錬破(指南リハーサル)などトレーニングを重ねてきた。遠くも近くもよく見えるようになり、動体視力もアップした。
 読んだり書いたりをアクティブに行うのが編集稽古だ。インターネット上にぽつんと浮かぶ学校で、テキストのやりとりだけなのに、キャッチボールのような手ごたえ、瞬発的なジャンプ、力を尽くした駆け抜け、仲間への掛け声やコーチの叱咤激励がリアルに感じられる。
 そんなモードをお互いにつくっているという編集にも驚きながら、その謎も問いながら、4か月の稽古を愉しんでほしい。

 

  • 原田淳子

    編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。