そこまで稽古するには眠れない夜もあっただろ 49[守]キジトラエール合戦

2022/06/26(日)11:30
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キジトラ疾走教室エール合戦

 声援は愛だ。スポーツの試合で、状況や選手ごとに変わる応援歌や掛け声。アイドルの歌に絶妙の間合いで踊りや合いの手をいれるオタ芸。「推し」への愛はスポーツ界や音楽界にも独自の文化を生み出してきた。教室ごとに唯一無二の世界観が広がる[守]の教室でも、実は同様の現象が起きている。キジトラ疾走教室で妙な掛け声が流行り出したのだ。

 

 \そこまで稽古するには眠れない夜もあっただろ/

 

 何かに似ている、と気づいた方もいるだろうか。

 

 そう、その独特な掛け声で広く知られることとなった推しボディビルダーへの声援を、編集稽古に重ねたものだ。[守]では「地と図」という型を学ぶ編集稽古があるが、まさに声援(図)の舞台(地)をボディビル大会から教室へ置き換えた、編集学校にしかありないエールが誕生した。

 

 きっかけは学衆Tが回答に何気なく寄せたひとつの記事リンクだった。リンク先で紹介されていたものこそ、「そこまで絞るには眠れない夜もあっただろ」カードゲームだ。ルールは簡単。ボディビル大会で推し選手にかける掛け声を集めた「掛け声」カードと4種の「マッチョ」カードがある。出された「マッチョ」カードに対して適切な「掛け声」カードを出し続け、最後まで掛け声を送ることができたプレーヤーが勝者、というものだ。

 

 自らもマラソンを愛し、教室名に「疾走」を冠する編集アスリート、安田晶子師範代はこれを見逃さなかった。そういえば教室には筋肉好き、ボディビル好きが多い気がする。第一回番選ボードレールでは、「筋肉」お題で二人も入選しているのだ。何を隠そう、入選した一人がTだった。これまでの稽古や勧学会の交わし合いからうすうす感じ取っていた学衆のフェチとカードゲームが、師範代の中で結びついた。くしくも編集稽古は「つなぐ/かさねる」用法2から「しくむ/みたてる」用法3への差し掛かり。師範代が、しかけた。

 

「日曜だから遊びましょ」

 

 そんな軽やかな誘い文句と共に、お互いの稽古を讃え、声を掛け合うコーナーが勧学会に立ち上がる。常に教室をトップ回答で引っ張るHが即日で応じた。

 

その加速、ハイオクですね!

 

 稽古の遅れを取り戻すべく、ここ数日ハイスピードで回答を送り続ける学衆Cに送られたものだった。送られた当人から、稽古の合間に返事が届く。

 

これ…めちゃくちゃ嬉しいです!笑

 

 かくしてキジトラ疾走教室のエール合戦の火蓋は切って落とされた。今度は、合戦の火種をもたらした学衆Tが、このゲームも先陣を切ったHに掛け声を送る。

 

編集切り込み隊長! 

 

 Tは掛け声と共に、「よく考えてみたら、とても編集的なゲーム」と元となったカードゲームを振り返った。編集は遊びから生まれる。そして遊びにはルールがある。このキジトラエール合戦にもルールがある。元のゲームに倣ってシンプルだ。

 

◆回答者に「最後まで声をかけ続けた人」が勝ち☆
  • ◆「編集する人へのリスペクト」を忘れない♪

 

 Hから質問があった。「最後まで声をかけ続ける」とはどういう意味かと。師範代が応じた。「最後まで声をかけ続けるとは、最後の回答が終わるまで」だと。つまりタイムリミットは、卒門日、2022年8月21日(日)24時ー。

 

「この時間まで、みんなで教室の全員を応援し合おう」

 

 さすがマラソン好き、なかなか長く熱い声援合戦となりそうだ。目指せ、ナイスバルク!

  • 尾島可奈子

    編集的先達:おーなり由子。十離で典離ののち5年ほどかけて師範代、師範の編集道へ。煌めく編集才能に比して慎重すぎるほどの歩みは、奈良が第二の故郷ということもあり、鹿っぽいと言われる風貌のせいか。工芸ライターやまちあるき企画で活動中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。