この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

世の中に「〆切」というものがなかったら、いま存在する本は、半分くらいの量だったかもしれない。それくらい〆切の威力は大きい。本日11月13日(日)18:00、49[破]第1回アリスとテレス賞「セイゴオ知文術」のエントリーが締め切られた。
その刻限目指して加速し、ラストスパートを駆け抜ける、いや書き抜ける興奮をはじめて味わった学衆も多いだろう。その加速と集中のなかで、いままで動かなかった思考が進む、別の次元へ向かう時がくるのだ。編集学校に「〆切は編集エンジン」という言葉がある。『〆切本』にあるように、それはつらく苦しい瀬戸際であるが、相転移を起こし、別様を生み出す装置でもあるのだ。
10教室・学衆67名中、エントリーしたのは59名だった。赤ラン十徳教室、まんなか有事教室、ちちろ夕然教室は全員エントリーを果たした。おめでとう!!
選評委員(木村久美子月匠、[破]の師範、番匠、評匠、学匠)は、それぞれ全エントリー創文を読んで選評会議に臨む。結果発表は、12月上旬。全エントリー作品に講評がつく。
さて、気になるのは、今期、大幅に入れ替えた課題本の人気ランキングである。トップは2つ、『数学する身体』『地球にちりばめられて』
が各12点。次に『虫と歌 市川春子作品集』が7点。マンガだけれどそう簡単に人を寄せ付けない雰囲気かもしれない。『生命誌とは何か』『フラジャイル』が各6点、『悪童日記』が5点、『あなたの人生の物語 』『椿の海の記』が各4点、『東京プリズン』が3点であった。『文字逍遥』でのエントリーがなかったのは残念だ。白川静先生ごめんなさい。
驚いたのは、『数学する身体』森田真生が、多和田葉子とならんでの1位だったこと。数学大好き、という人は少数派だと思っていたが、みんな実は数学に憧れているのか? 「身体」をとおして数学するという関係の引き方には、数学が苦手でも大丈夫かなと思わせるものがある。エントリー作品に、学衆たちの数学への想いがどのように溢れているか、じっくり読んでゆく。
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
東京の大岡山エリアといえば、東京科学大学(旧・東京工業大学)のある学園都市。にもかかわず、なんと書店がなかったという。そこにできたのが青熊書店だ。 青熊書店は、2025年3月15日に、自由が丘から移転して、 […]
源内さんとハン・ガンが人気【54破】第1回アリスとテレス賞エントリー
「5W1H」という基本の基本ではじまった[破]の稽古。1か月後にはアワードに向けて文章を何度も推敲し、磨き上げるまでに熱を帯びる。本日5月11日、54[破]第1回アリスとテレス賞のエントリーが締め切られた。セイゴオ知文 […]
【54破開講】うどん、タトゥー、ちぐはぐ…カオスの縁から創発せよ!
春の講座の先陣を切って、本日4月14日正午に、54[破]が開講した。12:25に登校(投稿)した学衆をはじめ、すでに回答を3連投した学衆もいる。 10名の師範代は、この1か月、レクチャーを受け、資料映像を見 […]
イシス編集学校25年目にして初! 感門之盟が東京から出遊する。53[破]は東海道53次になぞらえて、お江戸から京の都へせっせと歩き、京都岡崎にて第85回感門之盟・53[破]突破式を祝う。 なぜ京都なのか? 53[破]の師 […]
【破 物語編集術体験ツアー 2/2開催】かぐや姫が求めたお宝は?
物語には、なんとも気になる不思議なツールが登場するものだ。そういうモノに、物語という方法がなぜ必要とされたのかを感じることがある。たとえば、かぐや姫が求婚者にもって来てほしいと願ったお宝に、「火鼠の皮衣(ひねずみのかわぎ […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。