48[守]空文字アワーで4教室夢の競演

2021/11/14(日)22:13
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 11月5日、48[守]の勧学会イベント「空文字アワー」が始まった。

 空文字アワーとは、教室全員参加の言葉ゲームだ。ある簡単な文に1カ所だけ(  )がある。ここに自由に「言葉」を入れ、同時に新しく(  )を1つ加える。次の人も同じことを繰り返す。

 

  例えば
   東京では(   )雨が降っていた。
   (   )東京では季節はずれの雨が降っていた。
        ・
        ・
        ・
  と、続く。これを全員で繰り返していくゲームである。

 

 今期は、チームを越えた4教室が参加しての競演が実現した。同じチーム2教室での競演は過去にもあったが、4教室というのは初の試みである。

 

 参加教室は、

    ◆ はいから官界教室 (竹岩直子師範代)
    ◆ イシス宣伝本部教室 (徳能弘一師範代)
    ◆ いつもトンネリアン教室 (畑本浩伸師範代)
    ◆ 一調二機三声教室 (藤井一史師範代)

 最初の一文は4教室同じである。

 

    <夜中に(   )向かっていた>

 

 そこからスタートして、それぞれ1週間かけて紡いだ物語を4教室でお披露目をする。
 初めての教室対抗のイベントに最初は恐る恐るだった学衆も次第に夢中になっていく。最終日の11月11日、締め切り間近の各勧学会では学衆と師範代の必死の追い込みが続いた。

 

「続きが読みたくなってきました。どなたか続きを…続きをくださいっ!」

                               《イシス宣伝本部教室》

「渋滞を巻き起こしてしまってすいません!」    《一調二機三声教室》

「景山師範の追記に( )が無い!運転手は正面を向きつつもバックミラー

 を見ながら運転されているのか!」        《いつもトンネリアン教室》

「移動中の電車で見たんですが、『え、みなさん、めっちゃええやん。どん

 どん物語動いてますやん。』と感動!」      《はいから官界教室》

 

 空文字アワーは「皆で言葉をつないで変化を起こすのが醍醐味」だ。どういう言葉がくっついたり、区切られるかは一人一人の編集次第で変わってくる。教室で師範代と回答・指南を繰り返しているのとは一味違う編集の面白さがある。

 教室全員で大いにイメージを補強したり裏切ったりしながら、最終的にどんなストーリーになっていくのかを楽しむ。ワクワクしながら遊びながら創っていくのだ。

 

 編集は遊びから生まれる。

 

 同じ一文から始まった物語が、各教室でどう変化していったのか、自分たちの作品と照合して、刺激をもらい互いへのリスペクトを交換する。そうだ、これはまさしく「贈与」なのだ。

 

 編集学校は空文字アワー以外にもこういったイベントが開催され、教室の稽古と並行して進んでいく。このあとも企画は目白押しだ。学衆たちは加速する編集稽古に果敢に立ち向かう。お楽しみはこれからだ!


 秋の[守]講座受講、まだ間に合う!

 

  • 中原洋子

    編集的先達:ルイ・アームストロング。リアルでの編集ワークショップや企業研修もその美声で軽やかにこなす軽井沢在住のジャズシンガー。渋谷のビストロで週一で占星術師をやっていたという経歴をもつ。次なる野望は『声に出して歌いたい日本文学』のジャズ歌い。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。