学匠の知られざる「伝習座お題」【47[守]week6】

2021/06/05(土)21:00
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伝習座の冒頭にどの映像をどのように流すか。鈴木康代[守]学匠に課された知られざるお題のひとつである。トップムービーは、用法3から卒門へ向かうターゲットであり、期のモードを方向づけるキーツールとなる。

 

佐々木局長や吉村林頭と対話を重ねて選んだのは、2018年12月の伝習座の校長講義。通常5分程度の長さのところ「これ以上カットせずに託したい」と10分超のボリュームで師範代へ手渡した。

 

“くらべようとする類似力と、奥へ向かう相似力が僕の編集力”ルイジ君とソージ君と親友になることが編集力への近道だ)

 

“何かを伝えようとするとき、「自分」で伝えようと思ってはいけない。代わりに「本」「教室」「師範代」「お題」などのメディアを媒介にしてきた(これらすべてがイシス編集学校のシステムに組み込まれている)

 

(2018年12月10日 [守]伝習座の校長講義より)

 

それでは編集稽古のなかで、類似力や相似力を発揮するためにどのようにすればいいのか。康代学匠は、「要約と連想」「InとOut」といった「あいだ」の編集に可能性を見出す。

 

「この伝習座を、今まで用意した言葉を発するのではなく、これからを語ることでモードチェンジを起こす機会にして欲しい」(康代学匠)

 

学衆が「お題→回答」の番稽古を通じて「in→out」の情報編集の更新を重ねるように、師範代も自らのロールの可能性を再編集していく。伝習座は[破]の物語編集術の型を先取りすれば、「セパレーション→イニシエーション→リターン」の三間連結の場でもある。彼方から帰還した師範代はこれからどのようなモードチェンジ、ギアチェンジを起こすのだろうか。

 

来週から定常コースは用法2の後半へ、速修コースは早くも用法2へ突入していく。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。