この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

46[破]DAN ZEN ISIS P-1 Grand Prix、『遊刊エディスト』誌上で予選を開催中。第77回感門之盟での本選出場をかけて、各教室から短期決戦の応援合戦だ。
さあ、あなたも心惹かれるプランに投票を!
プラン1:あたりめ乱射教室/東北ミュージアム・エミシの暮らす千年の森
「まつろわぬ者」アテルイが生きた森で、東北の面影に出会う。
■「蝦夷」とはなにか
蝦夷とは、大和朝廷の時代、関東以北に住んでいた先住民族のことを指すが、いま東北に生きる人々にとって蝦夷とは何なのか、どのような存在か。これが本プランが考えようとしている大きな問いのひとつだ。
蝦夷はそもそも、西暦802年に征夷大将軍坂上田村麻呂の東北平定によって討伐されており、その名を聞いてもイメージに共通項はない。プランの発案者鹿澤倫子も「情報自体もとても少ない」と頭を抱えた。
■ 「蝦夷」を仮説し、仮設する
アテルイを描いた小説『火怨』の著者高橋克彦も「アテルイの史実は正史を調べてもほんの三行程度しか残っていない」と述べる。それは抹殺されてゆく敗者の歴史だからだろうか。だが、そのわずか三行を含め様々な他の資料から、私たちは「蝦夷」を仮説し、仮設できる。それがこのミュージアムのアブダクティブな可能性でもあるのだ。
■ 書き換えられ、漂白された歴史
あたりめ乱射教室のブレストルームではこんな呟きがあがった。
「歴史は常に強者によって書き換えられ漂白されていますが、漂白すればするほど周りはより白くなり、消えずに残る「シミ」は余計に目立つように、消そうとしても決して消せないものが今もなお現在の文化の土台として残っている」
この「シミ」は民族の核であり「らしさ」といえるものだ。それは東北だけでなく、日本や来場者が住む地域にもあり得るものなのではないか、「蝦夷」とは「民族」とはなにか、このミュージアムで思いを巡らせて欲しい。
企画案:46[破]あたりめ乱射教室学衆 鹿澤倫子
画像作成:同 学衆 義原星乃 同師範代 森本康裕
▼投票はこちら
読者投票あり!!46[破]「DAN ZEN ISIS P-1 Grand Prix」プランニング編集術アワード予選を開催
投票締め切り:2021年8月25日(水)24時
→ プラン1:あたりめ乱射教室/東北ミュージアム・エミシの暮らす千年の森
天野陽子
編集的先達:寺山修司。公共図書館長にして短歌会の歌人。師範代から即破師範へ。初師範時には別院でうたよび企画を展開した。言葉のアンテナを立て、日夜若者言葉からの新たなオノマトペの収集に勤しむ天然詩人でもある。
「全然アートなわたし」に会いたくて 49[破]花けはふ窓展レポート
桜前線がさしかかり、マスク着用の緩和を翌日に控えた3月12日。 49[破]学衆と指導陣総勢22名がオンラインの窓に顔を並べた。その名も「花けはふ窓展」。クロニクル編集術の番外稽古「全然アートなわたし」の回答を持ち寄り、 […]
プラン2:ハッコウクエスト~発酵キングダムへの招待~【46[破]DAN ZEN IS IS P-1 Grand Prix】
46[破]DAN ZEN ISIS P-1 Grand Prix、『遊刊エディスト』誌上で予選を開催中。第77回感門之盟での本選出場をかけて、各教室から短期決戦の応援合戦だ。 さあ、あなたも心惹かれるプランに投票を! & […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。