切った貼ったの松岡正剛 45[守]伝習座準備

2020/06/06(土)02:04
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黒板に一瞥をくれ、松岡正剛が色紙遊びを始めた。
「これを」「7ヶ所くらいあるといい」「直線のほうがいい」

カッターを手に、色紙を切り出す。45[守]伝習座の前夜のことだった。

 

 

2m×50cmの黒板に点在する、21枚の教室名札。
カッターは八田英子律師の手に渡る。生み出される紙の閃光。夜空にきらめく教室名の星座群が、原色でみるみる彩られてゆく。

「タテばっかりじゃなくてヨコも」「あいだのほうがいいんじゃない」

律師のデザインセンスが試される。

 

「岡本太郎的ですね」

田中晶子所長は目を細めた。一気に華やぐ教室名たち。教室札は所長お手製なのだ。

 

 

色紙は”仮留め”されている。ビデオチェックの手を止め、校長が黒板の前に立つ。
「あのピンクのツルみたいなやつ、もっとまわりこませて」

 

1枚1枚に指示を入れる。八田律師がいったんはがし、2cm左にずらす。
「もうちょい上」「よし。これで固めよう」

色紙の裏側にテープのりを引っ張り、黙々と貼りつける八田律師。

切った校長・貼った律師。
師範代を迎え撃つ準備は整った。

 

 

(写真:後藤由加里)

 

 

本来、学林堂に吊り下げられる教室札。この伝習座のため、例年より早めに制作された。ベニヤを2枚重ねる手間が掛かっている。穴開け前の出来たてほやほや。

 

 

 

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。