44[守]師範代 ドクター華岡の“うっかり”大阪紀行

2019/11/30(土)13:19
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 開講1カ月後と、異例なタイミングの汁講であった。企画者は、イシス若手ホープとのよび声も高い44[守]師範代・華岡晃生。“ドクター・カ ーソル”とい う教室名の通り、職業は金沢在住の研修医。高速な頭の回転とアフォーダンスで、 直ちに指南を返す。44[守]担当師範の山根尚子から“韋駄天”とよばれる由縁だ。

 

 ネット空間で成り立つイシスの編集稽古。テキストベースとはいえ、交流は濃密になる。開講後、個性を互いに了解したあたりで、師範代がリアルな集いを呼びかける。“汁講”とよばれ、通常は開講2~3カ月に開かれる。

 19年11月23日に出張が入った華岡は、大阪での汁講開催を呼びかけた。山根に相談した案は「12:40小田急線豪徳寺駅に集合、大阪駅ルクア9Fでランチ」というもの。「大阪が未知で慄いています」という発言からも、波乱の予感が漂う。

 当日、華岡は慎重を期し、集合時間の2時間前に待機をするが、場所を間違えて遅刻。山根と学衆の竹岩直子さんと合流後、イタリアンレストランで「有頭海老と冬野菜の島トマトクリームスープ 黄柚子の香り」を迷わずオーダーする。料理到 着後に「フォークとお手拭きがない」と慌て、「目の前にあります」と、竹岩さん に指を差される。

 華岡にはキレがあるが、“うっかり”が滲むとコクがでる。

 

 写真は、当日のスナップショットだ。華岡によると、眼鏡は「松岡校長をまねたもの」である。竹岩さんは、「華岡の肌がきれいだった」と述べているが、スキンケアによるものではない。華岡の美肌は、金沢の清涼な空気と水に育まれたのだ。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。