◎速報◎日本イシス化計画へ花咲かす【39[花]入伝式・田中所長メッセージ】

2023/05/13(土)17:40
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米誌『TIME』の表紙に岸田文雄首相の顔写真が載り、「日本を軍事大国に」との見出しが添えられるというニュースが流れた。外務省が異議を唱え「国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に差し替えられたようだ。今週は日本各地で地震が相次いだが、国家も揺れに揺れている。こんなときイシス編集学校長・松岡正剛の言葉が頭をよぎる。

 

日本という国家が気になるなら、議論の仕方をおぼえなさい。国家に縛られたくないのなら、「日本という方法」を学びなさい。

千夜千冊1259夜『日本とはどういう国か』 鷲田小彌太

 

イシス編集学校には「日本という方法」を見つめる格好の場がある。師範代養成コースであるISIS花伝所だ。2023年5月13日(土)、これから師範代を目指す第39期[花]入伝生と指導陣が世田谷豪徳寺の本楼に集い「入伝式」が開かれている。冒頭、イシス花伝所長・田中晶子は、宮本武蔵『五輪書』を引きながら入伝生への期待を伝えた。

 

1:「渡をこす」という編集力を持ってほしい

『五輪書』で最も絶妙なのは「渡をこす」である。たとえば海を渡るには“瀬戸”を越えたかどうかという一線があり、四十里五十里の道にも度を越せたかどうかということがある。これは長きも短きも同じことで、その「渡」を越したかどうかを体や心でわかるべきなのである。武蔵は人生にも「渡」があって、その「渡」が近いことを全力で知るべきだと言っている。それがまた短い試合の中にも外にもあって、その僅かな瞬間にやってくる「渡」にむかって全力の技が集まっていく。そう、言うのである。

千夜千冊0443夜 『五輪書』 宮本武蔵

 

2:「さかゆる拍子」を持つかどうかは真剣の一点が大事

またしきりに「ひやうし」という。拍子である。拍子に背くのが一番まずいことで、そのために拍子をこそ鍛練しなさいという。「さかゆる拍子」「おとろふる拍子」、さらに「あたる拍子」「間の拍子」「背く拍子」があるのだから、それによっておのずから打ち、おのずから当たる。それに尽きるというのだ。

千夜千冊0443夜 『五輪書』 宮本武蔵

 

さらに田中所長は「日本という方法」を見つめた人物を挙げる。異邦人となって日本という方法を作り直そうとした金子光晴、「2つのJ」を持ち出した内村鑑三、童謡に日本を持ち込んだ野口雨情や西条八十、職を捨てて二項対立ではなく二項同体へ向かった清沢満之といった先達だ。そして彼らには共通して真剣な「意気込み」があったと語った。

 

最後に学林局林頭・吉村堅樹の「日本イシス化計画」なる構想を明かした。今後5年間で日本に編集工学を広げていきたい、「編集を日本のインフラにする」というイシス編集学校の大いなる意気込みだ。

 

39[花]の24名の入伝生たちは編集への意気込みを充填し、これから日本イシス化計画を担う師範代として花を咲かせていくことだろう。

 

 

▼第39期[ISIS花伝所]編集コーチ養成コース 指導陣

校長:松岡正剛

所長:田中晶子

花傳式部:深谷もと佳

花目付:林朝恵、中村麻人

花伝師範:岩野範昭、平野しのぶ、蒔田俊介、吉井優子

錬成師範:梅澤光由、大濱朋子、小椋加奈子、嶋本昌子、古谷奈々、森本康裕、山本ユキ

  • 福井千裕

    編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。