37[花]M1演習 私の前に投げ出された世界を捉える

2022/05/19(木)18:18
img JUSTedit

 花伝所での演習はModel(型)に始まる


 5/15に5つの道場が開き、花伝演習がスタートした。入伝生は演習にて5つのM(モデル、モード、メトリック、マネジメント、メイキング)を順に学び、“師範代”としての実践的な編集力を身に着けていく。

 わかくさ道場では吉井優子師範が礼を持って臨めば、その立ち振る舞いを「礼!> ○┐」とモデル化してみせる入伝生。一丸となってトップスピードで演習に臨みつつ、その時々の気持ちや状態を「┌〇┐ <ごめん!」「バタンキュ> _○へ_」とモデル表現することも忘れない。滑り出しは上々だ。

 

 ところで、5MはなぜModel(型)に始まるのだろうか。演習開始時に届けられた総論のタイトルにはこうある。

 

 “モデルをつかむ/ 指南の基本フレームを組み立てる”

 

 この一文の意味、改めて考えたい。指南とは何だったか。それはすでに編集されたモノ・コトを再編集し、新たな価値や意味をつくったり、可能性を増やしたり、ものごとを前に進めたりするための方向性“南”を“指”し示すことだ。そのためにも、私たちの前に投げ出されたモノ・コトを情報として捉え、分節化し、メッセージだけでなく、その背景や文脈を含む編集構造(エディティング・モデル)として捉えることが欠かせない。構造が取り出せれば、それらの編集可能性が見えてくる。モデルに対してこれまでとは異なるアフォーダンスを感じることだろう。そう、Model(型)を捉えるということは、世界再編集のための第一歩だったのだ。

 

 30名の入伝生は対象となる情報のモデルを取り出すことと合わせ、自らの編集モデルを自覚しながら新しい編集的世界へと向かっていく。

 

 世界は編集されたがっているのだ。

 
文 武田英裕(錬成師範)

アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)

 

【第37期[ISIS花伝所]関連記事】

37[花]乱世に道場開幕!
37[花]入伝式 松岡校長メッセージ 「稽古」によって混迷する現代の再編集を
37[花]ガイダンス 却来のループで師範代に「成っていく」
37[花]プレワーク  編集棟梁は 千夜を多読し ノミを振る[10の千夜]
37[花]プレワーク記憶の森の散歩スタート

  • イシス編集学校 [花伝]チーム

    編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。