この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

オモイビトがいる。
師範代をやって良かったと思うことは、このことだ。
教室が終わったあとも、折にふれて思い出すのは、あの時交わされた言葉の数々だ。そして一緒に「卒門」という名のゴールテープを切ったあの喜び。この記憶を呼び覚ますだけで、何日も幸せでいられる。
一方で常に気にかかるのは、「がんばって卒門したけれど、破に進まなかった学衆」のことだ。今でも守の型を使っているだろうか。編集的自己を大切にしているだろうか。日々のあれこれに忙殺されていないだろうか。固定化された社会や関係にがんじがらめになっていないだろうか。
君はどうしているだろうか。
あの時に戻って、「もっと編集で遊ぼうよ」と背を押してあげたい。言葉と型で、もっと交わしあいたい。
師範代は誰しも、「卒門したけれど、進破・突破しなかった学衆」のことを思い、そっとキズ口を押さえる。
■ ■ ■
卒門したけれど、破に進まなかったみなさん、突破がかなわなかったみなさん。お元気ですか?
またイシスで遊んでみませんか? 守で身につけた型を、破で思い切り使ってみませんか?
イシスでは、初の試みとして、「卒門したけれど、進破・突破しなかった」みなさんだけをお招きする「エディットツアー」を、オンラインで開催します。題して「今こそ破! イシス旬然ツアー」。「旬」とは「みちる」の意。いったん離れたことで、みちた編集への思いを、ツアーで交わしあいましょう。
ツアーでは、守の型で遊んでみる、破の稽古のチラ見せ、ミニミニ汁講など、イシスでしか味わえない濃密な2時間を、あなただけに提供します。
もし迷ったら、卒門証を読み返してみてください。そこに答えがあります。
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イシス初の卒門者限定イベント
◎ 今こそ破! イシス旬然ツアー
2022年2月5日(土) 14:00~16:00
■会場:Zoomを利用します。
お申込みの方に参加用URL、パスワードをお送りします。
■定員:先着20名
■参加資格:守の卒門者
■料金:1000円(税別)
■申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/371
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角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama
世の中はスコアに溢れている。 小学校に入れば「通知表」という名のスコアを渡される。スポーツも遊びもスコアがつきものだ。勤務評定もスコアなら、楽譜もスコア。健康診断記録や会議の発言録もスコアといえる。私たちのスマホやP […]
スイッチは押せばいい。誰もがわかっている真理だが、得てして内なるスイッチを探し出すのは難しい。結局、見当違いのところを押し続け、いたずらに時が流れる。 4月20日の43期[花伝所]ガイダンスは、いわば、入伝生たちへの […]
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!
この春は、だんぜん映画です! 当クラブ「勝手にアカデミア」はイシス編集学校のアーキタイプである「鎌倉アカデミア」を【多読アレゴリア24冬】で学んで来ましたが、3月3日から始まるシーズン【25春】では、勝手に「映画」に […]
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
[守]では38のお題を回答した。[破]では創文した。[物語講座]では物語を紡いだ。では、[多読アレゴリア]ではいったい何をするのか。 他のクラブのことはいざ知らず、【勝手にアカデミア】では、はとさぶ連衆(読衆の通称) […]
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「鎌倉アカデミア」は、イシス編集学校のアーキタイプである。 大塚宏(ロール名:せん師)、原田祥子(同:お勝手)、角山祥道(同:み勝手)の3人は、12月2日に開講する【勝手にアカデミア】の準備を夜な夜な進めながら、その […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。