この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

本楼に輪読座衆は1名?
10月27日(日)13時からスタートする輪読座が存続の危機にさらされている。
これまで、空海、万葉集、日本書紀・古事記、唯識に華厳、折口信夫、井筒俊彦、西田幾多郎、そして南方熊楠とつづいてきた輪読座 日本哲学シリーズ。
今回は、日本陽明学の祖と呼ばれる熊沢蕃山の『三輪物語』『大学或問』を取り上げる。しかし、蕃山の知名度の低さからか、輪読座の募集人数が定員を大きく割り込みそうだというのだ。
輪読師といえば、バジラ高橋こと高橋秀元。松岡正剛とともに『遊』創刊時のメンバーであり、数々の編集プロジェクトを実現し、松岡をして「学者10人分」と言わしめる博覧強記の編集者だ。
松岡の暗示的かつアナロジカルでマジカルなレクチャーに対して、バジラの図象力、明示的な方法解読は対照的かつ他に類を見ないと言われている。2017年年末に高橋の病気入院のあと、輪読座は長期休講、その後、2018年夏から『弁顕密二教論』のネット配信である「甦る輪読座」で復活を遂げた。
しかし、長期休講の影響は大きく、イシス編集学校のなかでも、もう一人の「知の巨人」バジラ高橋の存在を知るひとは少なくなってきた。その余波が今回の輪読座募集にボディーブローのように利いてきた格好だ。
「高橋さんの図解力や方法的読解力には、一度は触れておいたほうがいい。いかに「読み」を方法と結びつけたり、現代の問題と照合できるかという(高橋さんの)鮮やかな手際を知らないと損だ」と学林局 林頭の吉村は語る。
27日からスタートする輪読座では、岡山、奈良、茨城の古河にルーツをもつ熊沢蕃山を取り上げる。蕃山の日本陽明学はどのように復活し、幕末維新にどのような影響を与えたのか。蕃山の思索はいかに現代の我々にも息づいているのか。「教育勅語以降、忘れられた「日本の本来の行動の美意識」を再確認できる機会になる」と輪読師のバジラ高橋は語っている。
さて、今週末に開講される輪読座が今後も存続できるか。開講までに輪読座衆は揃うのかが注目される。
◎輪読座詳細はこちら https://es.isis.ne.jp/course/rindokuza
◎バジラ高橋からの熊沢蕃山 概要PDFはこちら https://es.isis.ne.jp/rdz/rdz-text_08-kumazawabanzan.pdf
”輪読座 日本哲学シリーズ第八弾「熊沢蕃山『三輪物語』を読む」” が開講。皆様のご参加をお待ちしております。
吉村堅樹
僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。