この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

43[守]の卒門を終え、いよいよ今秋開講する44[守]の準備が進行中だ。田中晶子花伝所長からの呼びかけに応え、師範代キャストに名乗りをあげた放伝生らを含む23名が、自主トレに取り組んでいる。
「うねうねスタッカート」「談々醸錬」「三日月マブタ」など思い思いに編集した教室名を名乗り、指南を書く稽古を繰り返す。花伝所で学んだ式目を使える知に、いわばインテリジェンスに変えていくのがねらいだ。
先達の教室を参観し、回答と指南の往還をまるごと追体験する。過去の回答を今まさに届いたかのように読み替えるツボをさがす。盗んだワザ、お気に入りのコトバの使い心地をためしてみる。インプットした情報を型でアウトプットし続ける毎日だ。
クセはモードを生み、弱みはメソッドに磨きをかけ、不足はメッセージへと展開する可能性を秘めている。師範代へ変容していくプロセスは、センス・オブ・ワンダーそのものだ。自主トレは9月25日まで。
三津田知子
編集的先達:ルドルフ・シュタイナー。花伝入伝時に出家得度。感門之盟で密教僧の袈裟姿で登壇、衆目を集めた。離火元、花目付、古典輪読と研鑽を続ける編集求道者。道産子二頭の馬主でもある。姉は三津田恵子師範代。
2020年3月11日、WHOは新型コロナウィルスによる感染拡大を「パンデミック」と認定した。どのような基準で、どんな手続きを経て決定が下されたのか。情報を血肉化し、生きた知にしていく読みが問われている。 […]
10月1日、32[花]編集術ラボラウンジで開講に向けて入伝生の準備運動が始まった。 プレワークは、7週間の式目演習をフルスロットルで駆け抜けるために用意されたプログラム。毎日演習し続ける体力と、回答を共 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。