『江戸問答』帯撮影の裏側 10shot

2021/01/26(火)09:07 img
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 『日本問答』から三年。松岡正剛校長と田中優子先生の『江戸問答』(岩波新書)がついに刊行された。本は31ページ増え、1ミリ厚くなった。帯は1.7センチ高くなり、帯文字は横書きから縦書きになった。松岡校長は腕組みの時に左腕を上にすることは変わっていないようだが、本の眼力は一段とアップしている印象を受ける。一際目を引く今回の帯。過日の撮影現場の一幕を10shotでお届けします。

 

撮影は11月22日に法政大学で開催された「朝日教育会議2020」の直後に行われる。

 

終了後、控室に戻るとそこはすでに撮影スタジオになっていた。異世界の出現にスタッフ一同モードが一気に変わる。

 

今回の帯撮影はプロカメラマン川本聖哉さんが担当。撮影とともに演出も行う。

 

「視線はこちらに。意識だけを交差させるように」二人の表情と関係性を撮るべく気持ちを引き出すディレクションを重ねていく。

 

シャッターを押す度にストロボの音がボシュッと響き、強い光りで室内がほんの一瞬晴天になる。聴覚と視覚をもって川本さんの押すシャッターを体感。この空間は隅々までカメラマンが演出していることを思う。

 

画像は即時パソコンでチェック。出来上がりを確認しながら立ち位置や体の向きなど細かく調整していく。

 

立ったり座ったり。視線を合わせたり逸らしたり。数パターンを限られた時間内で次々と撮影。カメラマンの指示通りに動く役者二人。少しずつ呼吸が馴染み、先程のイベント時よりも和やかな雰囲気。

 

自分の目で見ている姿と、自分のファインダー越しに見えている被写体と、川本さんの写真に映る二人。全部があまりにも違うことに驚きが止まらない。「見えているものが真実だったら、こんなつまらないものはない」という十文字美信氏の言葉が頭をよぎる。

 

撮影から二ヶ月後、出来上がった帯はこちら。写真に吹き出しがつき、イメージが躍動的になっている。実は裏面にも仕掛けが施されているが詳しくはセイゴオちゃんねるでご覧頂きたい。そして現物を手に取って見て欲しい。

 

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  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。