西は青、東は赤。 中国語版『国家と「私」の行方』

2019/10/07(月)21:11 img
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 『歴史与現実』。中国語版『国家と「私」の行方』のタイトルである。
 
 本書の出版を実現したのは和装アジア教室の孫犁冰(そん・りびん)師範代。新潟青陵学園で経済学を教える彼女は、イシス編集学校に学び、2016年春に師範代登板。その後、自らのミッションとして、松岡校長の著作を中国語訳し、出版すると心に決めた。
 
 「中国人が日本を知るには、サンフランシスコ講和条約以降の日本と世界の姿を校長がどう書いたかを読んでほしい」。孫が翻訳をこの2冊に決めた理由である。
 
 2019年9月、『国家と「私」の行方』東巻・西巻2冊の中国語版を刊行。晴れて校長に報告にきた。カバーの色は、日本語版とは逆に、東巻が赤、西巻が青。中国の編集者たちの「東方観」は赤なのだ。帯には「日本のトップ学者」「超読みやすい」の簡体字がある。
 
 
 検閲もある中、多分にアナロジカルな方法をとる松岡正剛本が、孫のどのような編集努力によって翻訳されていったのか。校長とともに孫を迎えた学林局・佐々木局長のインタビューは2時間にわたった。インタビュー詳細はイシス編集学校のHP上、ISIS PEOPLEで掲載予定。
  • 佐々木千佳

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。