大事件まであと9日 ◎シン・お笑い大惨寺

2023/12/16(土)12:00
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予言しよう。
来たる12月25日のクリスマスの朝。イシス編集学校全体を震わす大事件が起こる。
事件とは何か。ひとつは「笑い」、ふたつめは「ことば」、みっつめは「1000日興行」。笑い×ことば×1000日興行というとんでもないインタースコアの大渦が、イシスに関わる(イシスに興味を持つ)すべての人を巻き込むだろう。

 

 事の発端は、浅草の骨董屋だった。

 

 ある陽気のいい秋の午後、浅草・蔵猫町(くらねこちょう)の骨董店の土蔵の奥から、一台の奇妙な「こんぴうた」が発見されれた。それは電源もないのに毎日コトコトと「問い」を投げかけるという奇妙もので、筐体には「大入道2000」と銘記されていた。
 あまりに気持ち悪いので骨董屋の主人は電子機器ゴミ回収に廻そうとしたが、やってきた回収人のひとりが「それは捨ててはなりませぬ。実は……」と聞かれもせぬのに朗々と語り出した。

 

 回収人の問わず語り。

 この「こんぴうた」は、その昔、江戸のはずれにあった銅坂(あかさか)大賛寺村に長らく受け継がれていた「自動大喜利根太生成器」で、毎日ひとつづつ村人に「お題」を吐き出していたという。そのお題は、一見下世話に見えて、その実、哲学の深淵を抉るようなえぐみがあり、あるいは、笑いを誘うようなものもあったという。

 

 回収人は続ける。
 ある時、日々お題を吐き出していた「大入道2000」に挑まんと、四人の願人坊主が大賛寺に立てこもり、一千日にわたって連続してお題に応える「大賛寺大喜利興行」を開いた。表僧正(正体不明)、裏僧正(正体不明)、小坊主(鮫漫坊・唐突坊の二名)の四人は、毎朝コトコトと吐き出されるお題を門に張り出し、夕刻、村人たちからの答えを集め、披露し、出来の良い物を堂内に納めていった。
 ところが、ある日、ふとした村人の回答が大当たり。それを見た者はすべからく笑いが止まらず、終いには集まったすべての村人が腹をかかえて笑い苦しみ、とうとう一人残らず笑い絶えてしまった。
 これ以降、大賛寺村はいつしか「大惨寺村」と呼ばれるようになり、寺は朽ち、大入道2000も、四人の願人坊主もいずこへと消えた。

 

 語りを終えた回収人は「喝!」と一声発すると、ゴミの山に飛び込んで消えてしまった。
 骨董屋は、その話を聞いてうかつに捨てるわけにもゆかず、さりとて無駄にするのももったいないと、店先に出して日々の来客にお題を出して呼び物にしていたが、そこに通りがかったのが、それぞれ「出部将」「筆部将」を名乗る、眼鏡と坊主アタマの怪しげな二人。「大入道2000」を見るや二人目配せし、祈祷を条件にこれを預り受けた。


 出部将、筆部将はこれを「編集の国」に持ち込み、一千日の大興行を打つことに決めたのであった。(出武将、記す)

 

謎が謎を呼ぶ、一千日の大興行。「シン・お笑い大惨寺」という名であることだけ、お教えしよう。すでにラウンジが開設されており、誰でも書き込めることは、勘のいいアナタなら気づいているはずだ。
大事件まで、あと9日。降誕祭を待たれよ。事件を起こすお題が、イシスに関係するすべての人の上に降ってくるだろう。(筆部将)


  • 角山祥道

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。