なぜ、あま〜い福澤美穂子が斬ったのか

2019/08/02(金)16:26
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 「家庭の事情編集のためのチョコレートを買いに行かねば」。師範代の福澤美穂子は[守]チームラウンジで打ち明けた。

 

 43[守]開講前の2019年4月某日のことである。「バレンタインデーですものね」。的外れな返信をしたのは、担当師範の井ノ上裕二だ。福澤は丁寧な説明を試みる。


 「バレンタインは2月でして、ええと、ウチにはチョコレート好きの夫がおりまして、ちょうど誕生日が近いこともあり、チョコレートを買って懐柔しておかねば、という戦略でした」。井ノ上が返信する。「あ、ホワイトデーは4月でしたね」。事態は混迷へむかう。

 

 開講前の師範代は準備で忙しい。余計な会話をしていられない。「違います。ホワイトデーは3月、井ノ上師範にとっては不得手な話題なので、おしまいにしましょう」。福澤は、井ノ上との対話を打ち切った。

 

 

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。