この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

喫煙者が隔離されるようになって久しい。全面禁煙のビルも珍しくなくなった。世の中はますますダークサイドに取り込まれているようだ。
スーザン・ソンタグの不敵な睥睨、開高健の凛々しい風貌を見よ。一本のタバコが人類に、尋常ならざる飛躍と揺らぎをもたらすことを実感できる。今宵も一本のタバコに賭けてみる。
しゅぽっと火をともし、白煙をふわっと燻らせると、スクリーン向こうの電脳空間から、大惨寺への参道が見えてくる。先日の感門之盟では、多読ジムの秘境性が語られたが、大惨寺ももうひとつの秘境なのだ。突破者ならば、読みと笑いの多焦点を捉えて、ぎゅいぎゅいと楕円状の軌跡を逍遥できるだろう。
一本を吸い終える時間があればよい。ほんの一服が思考を和らげ、放つ一句に連想が拡幅する。現在1000日興行の真っ最中であるが、本来大惨寺にはいつでもどこでもアクセス可能。この期間限定(4/5-13)の『遊夕三日坊主興行』にて、ちょいと覗いてみようじゃないか。(尚、非喫煙者も参詣可能である)
文・写真/破綻
◎大惨寺百番大祭●遊夕三日坊主興行
■開催期間 ※この期間だけお題のメール配信が解禁されメール回答が可能になります
前半︓4/5(金)・4/6(土)・4/7(日)
後半︓4/11(木)・4/12(金)・4/13(土)
(アイキャッチ画像)
スーザン・ソンタグ『私は生まれなおしている 日記とノート1947-1963』河出書房新社
開高健『瓶の中の旅:酒と煙草のエッセイ傑作選』河出文庫
芥川龍之介ほか『もうすぐ絶滅するという煙草について』キノブックス
シン・お笑い大惨寺 遊夕番遊夕番
編集的先達:一休宗純、川上音二郎、椿三十郎、四方赤良。イシスと社会の狭間に生まれし「シン・お笑い大惨寺」。この河原から毎夕声を発するは人呼んで「遊夕番」。時には抜き身の刀のごとくギラギラと、時にはヌメヌメ艶っぽく、この世もわが身も笑い飛ばす。髑髏を蹴飛ばしオッペケペぇ、雨降らば降れ風吹かば吹け。
「答えがあるクイズ」をもとに「答えがないお題」を作るには?【大惨寺】
与えられる問いから作りだす問いへ。 昨年『問いの編集力』(安藤昭子・著)が発売されたことは記憶に新しいが、問い(お題)をどう作るかということは、イシスでも世の中でも大きな関心を持たれているトピックのひと […]
どこの誰かは知らないけれど、イシスの誰もが知っている。月光仮面さながらに、みんなにお馴染み大惨寺は、ついに400番を迎えました。千日興行の足跡は川向うに村を成し、折々の祭りも経ながら着実に成長しています。 […]
大惨寺新章 -口伝の世紀へ-【第三回焼きそば会*焼きそば比丘尼ック】
活字に行間あり。セリフに間合いあり。シン・お笑い大惨寺はエディットカフェを飛び出し、新たな間の創造に向けて船出した。 2月大寒波の連休最終日、この世から消えゆく「B面の権化」大惨寺のトンチキ集団による焼きそば会が本楼で敢 […]
世の中から「B面」が消え失せつつある。 A面・B面という言葉のもととなったレコードやカセットが廃れたからということもあるだろうが、それだけが理由ではない。 「B面」という語 […]
20分の8である。打率にすれば大谷翔平も口をあんぐりの4割バッターだ。 何が打率4割か。 明日28日いよいよ幕を開ける54期めの[守]講座。その教室をあずかる20名の師範代のうち、なんと8名がお笑い大惨寺出身なのである。 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。