【エアサックス加藤の三度目の突破01】編集天狗と突破を誓う!

2022/10/17(月)22:02
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スニーカーならエアマックス。NBAはエアジョーダン。ダイノジはエアギター。そしてイシスにはエアサックスと呼ばれる男がいる。

感門之盟で音楽を学ぶ卒門学衆としてフィーチャーされたものの、サックスの演奏が未熟だったため、校長から吹かないで持ってるだけにしてとディレクションされたことから、「エアサックス」の愛称がついた。49[破]学衆・ヤマネコでいく教室、加藤陽康。これは3度目の正直ならぬ3度目の突破にかける若者の4ヶ月に渡る編集稽古のドキュメントである。


 

感門で守学衆代表として呼ばれるほど期待されながら、そのあとの破では突破ならず。間をおかず受講した2度目はほとんど回答することなく爆破。今回は3度目の[破]である。3期も連続して[破]に関わるなんて、師範か番匠、学匠以外にはこの男しかいない。この企画が立ち上がったとき、学林局の面々からは懐疑的かつ冷ややかな目が向けられた。また同じこと繰り返しちゃんじゃないですかぁ。知りませんよぉ。

それも無理ないかもしれない。エアサックス加藤は菊地成孔の音楽の学校に通っていたにも関わらず、最近はほとんど学校にも通っていない。三軒茶屋にある実家も家出して、友達の家に転がり込んでいる。今はもっぱら松陰神社前の喫茶店でアルバイトに精を出している。まさに「エアサックス」を地でいく日々なのだ。


しかし、そんな加藤に期待するものたちがいた。一人はヤドカリ軍団の総帥ことオネスティー上杉だ。エアサックス加藤はヤドカリの次男。総帥としても放ってはおけない。また加藤の手離れが悪く煮え切らない稽古ぶりが、かつての自分にも重なるところもあるのだろう。イシス一誠実だと言われる「オネスティー」なカーソルもついつい向いてしまう。
もう一人は謎の男・編集天狗だ。「稽古してねえやつは、いねえが」とばかりの正体不明のこの男。エアサックス加藤を絶対に突破させると意気込んでいる。

 

中央に腰掛ける加藤陽康と、突破までを並走していくオネスティ上杉(左)と謎の男・編集天狗(右)。加藤の顔が若干こわばっているように見えるのは気のせい。撮影後、編集天狗はすかさず01、02のお題の回答を促した。


天狗は加藤に突破のための誓いを要求した。

ひとつ、回答の締め切りを守ること。
ひとつ、勧学会、別院にも必ず登場すること。
ひとつ、お題文は印刷してマーキングしながら読むこと。


そして、往生際の悪い加藤に対して、丸山健二の『まだ見ぬ書き手へ』を引いてアドバイスした。書き始めたら振り返ってはいけない。書いている途中に文章を読み返してしまうと自己嫌悪に陥る。一気に最後まで書ききってから、推敲をするのだと。

さあ、加藤は今回突破できるのだろうか。はたまた大方の予想通り3度目も脱落するのだろうか。
エアサックス加藤は抱負として「突破は当たり前として、破と重ねながら編集術を活かしながら新たな音楽をつくりたい」と語った。この色気が吉と出るか、凶と出るか。エアサックスがリアルサックスに変わるのかどうか。10月17日、教室は開かれ、お題が次々と出題された。加藤は点呼に教室内で2番目に応え、セルフプロフィールを提出。次回、加藤は順調に稽古を進めているかどうか。スタートダッシュ篇にご期待いただきたい。

 

加藤陽康の00番セルフプロフィールの回答の一部。「自分が全然知らないことを知らせてくれる」「世界の不思議さの馥郁がますます漂う」という編集学校への恋情とは裏腹に、未だに突破できずにいる現状を吐露する加藤。自己編集から相互編集へ向かう[破]の編集稽古において、開校初日のこの白状と突破宣言は、加藤と教室の稽古模様にどう影響するのか。

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。