「脱ぎます」校長を悩殺する中洲マリリン【20周年感門之盟@九州】

2020/09/29(火)09:00
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 感門之盟2日目のロケ地、耶馬渓の擲筆峰(てきひっぽう)に向かう車の中で、「中洲」とどデカく書かれたTシャツを身にまとう中洲マリリン教室師範代(45守)の三苫麻里が、ハンドルを握る九天玄氣組組長の中野由紀昌に話しかける。

三苫:Tシャツ、じつは二枚重ねなんですよね。

中野:どんな?

三苫:中洲Tシャツをめくると、マリリン・モンローが現れます。

中野:さすが!そのファッションで中洲を歩いてほしいわ。

三苫:歩けません(笑)

中野:オープニングで脱いじゃえば?

三苫:えー、脱ぐんですか(笑)


 話を聞くと、春に行われたオンラインの伝習座でも脱いだというではないか。はじめからそのつもりだったのだ。マリリンは期待を裏切らない。

 

 擲筆峰に到着、スタンバイする。空には雲ひとつない。そそり立つ岩壁も映えている。師範の石井梨香、薬研風穴教室師範代の吉田麻子、ヤバケイ万全教室師範代の田中さつきの表情も晴れやかだ。しかし、一抹の不安もよぎっていた。Zoomのバグなのか、機材の相性なのか、映像がアートに変容していく現象が1日目の感門之盟で生じていたからだ。リハでは問題なく配信できたのに、原因はわからないままなのだ。まさか今日も…? 


 本番スタート。オープニング映像のあと、佐々木千佳局長と鈴木康代学匠が九州会場に呼びかける。
「やばけ~」

 抜けるような青空が一瞬映し出される。人物にカメラが向けられた途端、時空は歪んだ。みるみるうちにやばすぎる映像になっていく。元の映像にもどったり、四次元をさまよったり、不安定極まりない。

 


 ほぼ半狂乱の中野組長の脇で、三苫は中洲Tシャツを脱ぎ始めた。Zoom視聴者は釘付けだ。チャットには「ドキッとした」との書き込みが続々と寄せられている。松岡校長の「ミトマ、最高!」コールにしてやったりの顔だ。



 中継のあと、二日とも耶馬渓の絶景を届けられなかったことに呆然とする組長。ふと目を他に移すと曼珠沙華が咲いている。そうだ今日はお彼岸だ、彼岸と此岸のあいだをカメラは捉えたんだと、無理やり腑に落とそうとしているようだ。

 結局、耶馬渓中継はマリリンの体をはった演出が最大の見せ場となった。とはいえぼんやりした映像でよく見えなかっただろうから、あらためてご披露したい。脱ぐシーンだけ強調されたマリリンの、二枚目のTシャツの柄である。


 

  • 中野由紀昌

    編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。