「怒らない師範」 景山和浩の変身願望

2019/12/04(水)09:22
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 師範代の悩みを聞きいれ、信頼を得ながら才能を最大限に引き上げる。本業はスポーツ新聞の紙面編集、趣味は陶芸。その温厚な人柄で「仙人」ともよばれる景山和浩。師範登板は今回の44[守]で12回目、番匠登板経験も5回というイシスの名匠に、化学反応が起こっている。

 触媒は、44[守]で景山チーム所属の師範代・中川将志(五彩ボウイ教室)。読み取りと調子のよさが持ち味だが、開講前から稀有なマイペースぶりを発揮している。開講1カ月後の19年11月22日には、早くも出題遅れをもたらす。出張が理由であったが、目玉企画である番ボーのお題であるため、学匠・番匠・師範が動揺する事態となった。出題後、安堵とともに「番ボーを盛り上げないとDUSTにしますよ」と注意する景山に対し、中川は「めいっぱい番ボーを盛り上げます」と応答。悪びれた様子はあまりない。

 

 この2年間、[守]の現場で活動をともにした井ノ上裕二(師範)は述べる。

 「景山さんはああ見えてねー、かなり毒っ気があるんですよねー」。

 「そしてね、DUSTを書きたがっていると思うんですよね」。

 「いい人」という固定化された見方をうち破るべく、DUST記事執筆のタイミングをうかがっている、と井ノ上は見る。その契機は、中川の「次なるやらかし」だ。陶芸では釉薬による色彩の変化を楽しむ景山。中川の教室名に「五彩」という言葉が入っていることも、暗示的である。

 

 中川によってもたらされる、景山の“DUSTライター”デビューは、そう遠くない未来のことだろう。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。