【参丞EEL便#002】想像力にはどれだけのスペースが必要だろうか?「Co-Edit Shelf」開発中

2022/04/20(水)09:05
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共憶、共譜、共筆、共読。編集工学研究所では、「Co-Edit Shelf(仮)」と題して、一畳サイズ(横90cm×縦180cm×奥行編集中)の”超本棚装置”を開発している。

 

「Co-Edit Shelf」の棚には、「今考えたい問い」と「今こそ読みたい本」が、デリバリーされる。たとえば、エルザ・スキャパレリと高野文子と宇野千代の時代を動かすショッキングな異才にあやかり、『雨月物語』と『パサージュ論』と『膜は生きている』で虚実皮膜の世界観に出入りする。毎月更新型で、私と国家、心とサブカルチャー、働くと環境など、さまざまなテーマをお届けする予定である。

 

本棚と人間との関係をアッとおもしろくする試みにしたい。IT社会、SNSセカイがここまで定着した世の中であればこそ、本と想像力の関係がずっとゆかいになるルール・ロール・ツールを提供したい。特にツールは、棚にさしかかった人々が、共にリミックスやインタースコアを起こすものを用意する。Qから新たなQが、Qから次なるEが動くための「プログラム」や「配信番組」の準備にとりかかっている。

 

本棚開発自体も、共奏を目指している。編集学校の先達や指導陣や学び手のみなさんと、問いづくりから選書まで、番組構成から新たなソフトウェア開発まで、イシスとEELのブックウェア実験の場を企みたい。

 

ヘッダー写真は、編工研エディターで、15離にエントリーして世界読書にいどむ山本春奈の棚イメージ図。本棚も場も、騒がしく!

 

 

 

[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]

//つづく//

 

  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

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コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。