この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

その進撃は前触れもなく始まった。
1)僕は周りに流されるのを好まないマイペースな猫だ
ほぼ3カ月ぶりの回答だった。2020年8月15日午前2時前、45[守]全番回答締切の46時間前である。
遅れましたも、再開しますの言葉もなく淡々と回答が届く。回答内容はとてもいい。
すみれの花咲く教室師範代の野住智恵子は3時間後に指南を返した。「何とも息苦しい今の時代、あなたがた若者が夢を見るためには、思考の型が役に立つ」と添えて。
その日彼は5つの回答を寄こした。残りのお題は24題だ。担当師範の石井は、高校生学衆上野君の復活にガッツポーズをしながらも卒門は難しいだろうと踏んでいた。
しかし彼の動きは素早かった。どんどんパワーアップしていく回答、余裕すら感じさせる時間使い、野住はこれは蜃気楼か!と驚きの声をあげた。
08/16 12:08 【お題:017番】サンドイッチもコロッケも
08/16 17:10 【お題:024番】風が吹いたら三味線
08/16 20:34 【お題:030番】連想シソーラス
08/16 21:48 【お題:033番】やわらかいダイヤモンド
08/16 22:51 【お題:036番】バナナと魯山人
08/16 23:35 【お題:037番】イシスな文体練習
08/16 23:55 【お題:038番】編集カラオケ八段錦
締切5分前、上野アレキサンダー君は卒門を決めた。「このすみれの花咲く教室は、最高に楽しかったです」の言葉とともに。
雲が払われ青空が広がるすみれの花咲く教室には、大量の未指南を前に気合でほほ笑む野住千恵子がいた。
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20周年。発足会を行った9月の彼岸をめざし、周年事業を進めている。軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠した雑誌の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグル […]
8年近く続いた黒潮大蛇行終息の兆しが報じられる中、イシス界隈に、これまでにない潮流がおこっている。 松岡正剛の「千夜千冊」をキーブックとし、「九州の千夜千冊」を冠した雑誌づくりが動き出したのだ。 イシス編集学校の九州支所 […]
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。