今のわたしがいちばん若い 45[守]新師範代・野住智恵子の心意気

2020/04/19(日)11:49
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 野住智恵子(45[守]師範代)の半生は舞台芸術とともにあった。
 関西芸術座では新劇女優として活動し、後に舞台撮影へと軸足を移す。商業誌に宝塚やミュージカル関係の記事の寄稿もした。今でも朗読はプロの腕前だ。

 

 阪神淡路大震災三週間後に、宝塚歌劇に肖る会を設立した。アーティストの活動の場つくりにまい進した。会社の代表として、宝塚OGによるミュージカルや能のワークショップの企画や出版事業を手がけもした。

 

 そんな抜群の行動力を誇る野住がつぶやく。

 「コロナで身辺が急変した今となっては、師範代を全うすることが、わたしの道なんだな」。

 

 十代のころから『遊』に憧れていた。数十年の歳月を経て、介護に明け暮れていたころ、ネットサーフィンでイシス編集学校に出会った。花伝所放伝後、松岡校長から「すみれの花咲く教室」という教室名を授かる。介護からはすでに手は離れている。コロナ騒動でイベント関係の仕事も中断している。

 

 45[守]の担当師範である石井梨香は、野住についてこのように評価をしている。「心を浮き立たせる言葉が魅力的。学衆の演技を心から楽しみ、笑いと憧れで花開かせるような教室になるのでは」。

 

 「今のわたしがいちばん若い」と言い切る野住は還暦を超えている。

 その意気は高く、鼻息には勢いがある。

 

 イシス編集学校45[守]と、「すみれの花咲く教室」は、四月二十日に開講の時をむかえる。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。