この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

舞台はひとりでつくれない。
20周年記念感門で、大阪会場に選ばれた近畿大学図書館。アカデミックシアターと名付けられたそこは、「知の実験劇場」を標榜する。この大舞台をつくりあげた役者、裏方、小道具大道具、総勢20名以上のキャストを紹介しよう。
◆舞台のうえではなやかに
▲川野貴志(26[守]草莽捲局教室):アカデミックシアター総支配人(イメージ)楽屋の苦悩はつゆほどみせず。
▲山田細香(41[守]B面方眼教室):ヨウジが踊り、細香が歌う。その目に宿る情報生命。
▲田中圭一(マンガ家):命生みだす黒インク。キャラクターを慈しむ目元に手元。
▲堀江純一(20[破]窯変みさき教室学衆):緊張するほど話し出す。憧れの存在をまえにほとばしる言葉。
▲川添陸(43[破]合氣プロセス教室学衆)・樋口晃大(45[破]播州ざこば教室学衆):
近大×イシスのコラボ団体「010 Studio(通称ゼロテン)」の二代目代表および副代表。クリアでロジカルな話しぶりの川添は、すでに堂々たるビジネスマンの風格。爆破樋口は、突破めざして再挑戦。橋本の含み笑いの真相はいかに。
▲岡本悟(31[守]オプション工作教室):イシスのジーニー。元ラガーマンにかかると本もマイクも無重力。
▲佐藤玲子(45[守]型紙みえけん教室):切実があふれだす。潤んだ瞳は全三重県に大雨降らす。
▲山根尚子(39[守]千里チャクラ教室)・景山和浩(17[守]八雲でんねん教室):のびやか山根・ひきつる景山。腹の右手はなにゆえか。
▲西村慧(45[守]アフロル・テクノ教室):この世界に妖精さんがいるならば、そいつはきっと虹色アフロ。
▲岡本尚(19[守]将門扇子教室):軽妙洒脱、洒洒落落。なぜかマスクにタイガース。
▲野住智恵子(45[守]すみれ花咲く教室):カメラむければたちまち女優。あたりいちめん花畑。
▲小路千広(35[守]さみだれ海峡教室):レフ板にこの半年も反射して。イヤホンで聞く師範代の声。
▲野嶋真帆(8[守]くらげチャンネル教室):届け届け届け届け。ただ一念に、500Km先へおもいを飛ばす。
◆舞台の袖でどろくさく
▲橋本英人(35[守]天然ドリーム教室):少年の悪だくみ。刺されても蹴られても、しれっとへろっとかわす真犯人。
▲福田容子(27[守]推感まいまい同盟教室)・梅澤奈央(42[守]はじかみレモン教室):ふたりで1匹、感門マグロ。近大エディスト速報は、オール福田ディレクション。頭はふくよ、尾っぽはうめこ。あいだでつぶれる橋本参丞。
▲小島伸吾(6[守]風紋某々教室):カメラマンK談「ジャコメッティの面影、否、面影のジャコメッティの前でカメラマンはアンリ・カルティエ=ブレッソンになりました」有名写真の構図をやつす。
▲小島貴子(13[守]全禅おしゃま教室師範代):面影男は目を瞑り、曼名伽娘は目で殺す。まなざしひとつで場を支配。
▲我妻活恵(面影座):レンズの先には師範代。リハ時の懸案事項をすべて吹き飛ばす盤石のテクニカル。
▲土井新二朗(面影座):配信の心臓部を担うのは、イシス外から駆けつけた安心と信頼の土井。
▲岡友美子(アカデミックシアター事務室室長):現場責任者として、海より広い心でイシス勢をお見守り。DONDENの観音。
▲木藤良沢(25[守]すきま御免状教室):現場でこぼれる口のほころび、目のきらめき。リハから丸72時間、たんねんに拾い集めた完全黒子のスナイパー。
唯一の表舞台は、Day2朝の近大中継。カメラレンズにマグロを装着、準備万端待機するも尺を切られて出番カット。
◆舞台の下のささえたち
▲撮影隊(ウエストワン):ディレクター、カメラマン、音声マン、ケーブルマン。ひとりが動けば、山が動く。撮った絵を別室待機の配信部隊が整える。
▲仕掛け人・敷田信之(31[守]ソーシャロイド教室):本気の撮影隊を手配した陰の立役者。仁義に厚いアラビアのロレンス。本人不在でもその男気が全イシスにむんむん匂う。(写真は8[離]退院式にて)
●ミキサー(ALLEN&HEALTH):機器のうえをスケートする土井の左手。小指をたてて繊細な調整。
▲ディスプレイ(大・小):5インチスマホから50インチの大型液晶まで。伸び縮みする本楼映像。
▲本棚:埋め込まれた内照式の灯りが1冊ごとにスポットをあてる。棚のひとつが、本のステージ。主役のまわりには、大道具・小道具がスタンバイ。
▲近大マグロ:図書館備品。ソーシャルディスタンス確保用。
▲カメラ(Canon EOS 5D Mark III):愛機ブラックタイガーはこの日、マグロオーシャンに変身。
(企画・撮影:木藤良沢)
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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2025-06-10
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2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。