9人の”冊師” 多読ジム第一回”工冊会”(申込〆切まであとわずか)

2019/11/27(水)22:21
img CASTedit

 おおくぼかよ、加藤めぐみ、松尾亘、宮川大輔、宮野悦夫、増岡麻子、丸洋子、山田小萩、吉野陽子。2019年11月24日、多読ジムの第一回”工冊会”(こうさつえ)が開催され、各スタジオをもてなす9人の”冊師”(さっし)が初めて顔を合わせた。吉野のホームグラウンドは兵庫、宮野は山形から駆けつけた。宮川にいたっては甲府の老舗本屋・春光堂書店の店長さんである。

 

 冊師の位置づけは師範代、工冊会は[守]・[破]の伝習座を連想するかもしれないが、実は似て非なるものである。最大の相違は、多読ジムは基本的に自主トレがメインであり、”指南がない”ということ。指南がないのなら、冊師ロールはいったい何をすべきなのか。それがモンダイだ。

 

 冊師は自らも読み手になる。指南がないとは言っても、型や方法で使う点では他の講座と変わらない。多読ジムの「読み」とは一言でいえば、[守]の38番を駆使することだ。”余地”や”遊び”が大きいのは、自由・自在・自信の”三自”を重んじる読相術の方針にもとづいている。今後の工冊会では、松岡正剛校長の読相術のアップデート講義もおこなわれる予定だ。

 

 読衆の顔ぶれ、カリキュラム内のブックリストや課題本のバリエーション、そこに指南とは異なる冊師のナビーションが加わって、3か月のシーズンごとにスタジオは変奏する。冊師ロールは編集学校史においても、おそらく読書史においても未知の試みである。とりわけ、9人の冊師たちが新たなモデルをつくっていく黎明期は、読書の歴史あるいは読者の歴史を画期する1コマになるかもしれない。

 

 あらためて、多読ジムの冊師およびボードメンバーは以下の通り。

 

 冊師:おおくぼかよ、加藤めぐみ、松尾亘、宮川大輔、宮野悦夫、
    増岡麻子、丸洋子、山田小萩、吉野陽子
 月匠:木村久美子
 冊匠:大音美弥子
 多読師範:福田容子、米川青馬、小倉加奈子
 代将:金宗代
 林頭:吉村堅樹

 

 多読ジムの読衆の〆切は今月末まで、定員はあとわずか。

 https://es.isis.ne.jp/gym

 

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:宮崎滔天
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。