この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

イシス編集学校の受講生が、編集的日常を語る、好評エッセイシリーズ「ISIS wave」。2023年3月に始まり、2024年5月末に30回となりました。各地で渦を巻き起こしてきた、当シリーズのうずうずな軌跡をアーカイブでお届けします。
【組織とわたし】
システムだって、関係だって、なんだって編集できる。
01)ルル三条で挑んだ病院編集―石川英昭
08)企業アドバイザーの実装実験―斎藤肇
10)海運マンは〝おとづれ〟に耳を澄ます―神戸七郎
21)エストニアで見つけたたくさんのわたし―神保惠美
23)わたしのイシスクロニクル―姜舜伊
26)私はもうアンパンチを繰り出さない―松林昌平
28)宗教する・編集する―中島紀美江
▲編集は世界だってまたにかける(海運マンは〝おとづれ〟に耳を澄ます―神戸七郎)
【好きこそものの】
好き=数奇の中には編集がたっぷり詰まっている。
11)コンパイルの海をゆく―乗峯奈菜絵
14)いちにちだけの喫茶店―三澤洋美
16)型が音楽を運んでくる―瀬尾真喜子
17)ライブを料理してみた―藤井一史
18)エレボタに魅せられて―中野渡有美
19)推し活は型で加速する―猿川博美
29)編集の方法は連句にあり―小原(濤声)昌之
▲気になったものをあつめて、わける。これぞ編集のいろはだ(エレボタに魅せられて―中野渡有美)
【内なる稽古】
日日是編集稽古なり。
03)身体×言葉×音楽のインタースコア―松岡竜大
04)センセイのリバース・エンジニアリング-倉内祐子
06)木こりが手にした「5つのカメラ」―木田俊樹
12)既存の言語からの脱却―小林陸
22)方法の力で“サウナ”を再編集―束原俊哉
30)さらば、わかりやすいワタシ―中田ちひろ
▲守を走りきったご褒美。偶然の僥倖だけど(さらば、わかりやすいワタシ―中田ちひろ)
【家族のなかで】
大事な人との日常も編集の力で発見的に。
07)稽古の旅・旅の稽古―今野知
09)ライターママの三位一体―前田真織
15)新米パパのイクメン日記―坂田裕俊
24)なあにが降って言葉が動く―荒井理恵
▲わが子をイラストに描く。ほら、編集が動き出した(稽古の旅・旅の稽古―今野知)
【不足から始まる】
「ないもの」を見つけると編集が加速する。
02)本を売るということ―佐藤伸起
05)「仮留め」が挑戦を加速させる―内野絹子
13)「地と図」で手に入れた新しい世界―北村彰規
20)お題と仲間と、時々校長―李康男
25)稽古も仕事も全ては仮留め―瀧澤有希子
27)私たちの中には“編集力”が潜んでいる―高田智英子
▲廃校(マイナス)が編集で図書館(プラス)に早変わり(「地と図」で手に入れた新しい世界―北村彰規)
◎「ISIS wave」はまだまだ続きます。自薦・他薦を問わず、書き手、編集者を募集しています。興味のある方はご連絡ください。
問い合わせ先:uzu_isis_edist@fuwamofu.com(チーム渦・角山祥道)
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
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コミュニケーションデザイン&コンサルティングを手がけるenkuu株式会社を2020年に立ち上げた北岡久乃さん。2024年秋、夫婦揃ってイシス編集学校の門を叩いた。北岡さんが編集稽古を経たあとに気づいたこととは? イシスの […]
目に見えない物の向こうに――仲田恭平のISIS wave #52
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 仲田恭平さんはある日、松岡正剛のYouTube動画を目にする。その偶然からイシス編集学校に入門した仲田さんは、稽古を楽しむにつれ、や […]
『知の編集工学』にいざなわれて――沖野和雄のISIS wave #51
毎日の仕事は、「見方」と「アプローチ」次第で、いかようにも変わる。そこに内在する方法に気づいたのが、沖野和雄さんだ。イシス編集学校での学びが、沖野さんを大きく変えたのだ。 イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変 […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。