【参加者募集】2025母の日は、編集の父セイゴオを偲ぶ「花歌果の戒(かかかのかい)」へ、本楼へ

2025/04/15(火)19:51
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 生と死はいつも背中合わせの裏おもて。背後の死を通じて目前の生をゆたかにする【終活読書★四門堂】(多読アレゴリア)より、特別イベントのお知らせです。

 

 5月第二日曜の11日午後、豪徳寺赤堤のISIS館本楼において、この空間を現世にあらわしてくれた松岡正剛を偲び、花と歌を手向ける「花歌果の戒(かかかのかい)」を開催します。

 

★歌×花×お茶、本も声も響きあう惜別を

 

 いつも心にセイゴオを抱き、面影のうつろいを感じながらも、諦められないものがある。お別れはとっくにしたはずなのに、お礼もお詫びもできちゃいない。五月晴れにも浮かぬ思いは、自分なりの方法もことばもろくに使えないままだから、ではないでしょうか。

 

 さいわい四門堂には「植物を通して、人と自然の経路を開く」花と庭の達人、塚田有一春御堂堂守がいます。その塚田花人が歌の師とするのが、米山拓矢師範。歌人でもあり、Seigow Remix『うたかたの国』松岡正剛/工作舎 2021を企画・編集した、辣腕編集者としても知られています。

 

 四門堂では、このご縁を生かし、「歌と花の手向けの会」を開催したいと早くからもくろんできました。死者を悼む方法として、宗教が芽生える以前から、人は花を手向け、歌を贈ってきたからです。

 

 はからずも5月第二日曜、母の日に本楼を使ってISISフェスタが行えることになったのは、迎えに行く偶然とやってくる偶然の一致かもしれません。もともと母の日は、一人の女性が亡くなった母を悼むために始めた行事であり、松岡正剛ほど「ははの国」を次世代に手渡すことに熱心だった人を、わたしたちは知らないからです。

 

 参加される皆様には、米山歌人から事前に「歌」の宿題が出されます。本楼では、塚田花人が「世よ直れ」の意を込めて行う花活けのデモンストレーションを鑑賞した後、米山歌人のレクチャーと指南を経て歌の推敲に向かい、見ようみまねで自分の歌と花を、松岡正剛の面影にささげていく。【みる】【ならう】【まねぶ】の三部仕立てとしました。

 

 

★旬菓と茶の香りに惹かれて、影向があるかも?

 

 いっぽう、季節は初夏、新茶が出始める「山滴る」の時期です。6月に始まる夏の四門堂を背負う赤羽卓美堂守が、島根県吉賀町白谷と神奈川県清川村で茶の自然栽培に取り組んでいることをご存じの方も多いでしょう。名付けて「売茶翁計画」。

 

 お茶といえばペットボトルで飲む派が主流の今、赤羽売茶翁の畑で摘みたて、煎りたてで供されるお茶は、いわば別格。季節のもたらす果実といえる香りと味わいです。当日は、そんな新茶に旬の菓子を添え、しみじみと語らう時間もご用意しました。

 

 人間は、最古の楽器である声を使って、ほかの人々と悲しみを分ちあってきた、それが洗練されて歌になり、唱和することがハーモニーを生んだといわれます。

 

 そんな声の響きあう午後を、本楼でともにしませんか。四門堂計画を企画実践してきた冬の堂守/黄泉記書記大音(筆者)は、「四束互問屋」と題した古書計画も立案中。持ち帰っていただくものの多い午後をお約束します。

 

 

アイキャッチ制作:野嶋真帆(秋御堂堂守)

花の写真撮影:塚田有一(春御堂堂守)



■日時:2025年5月11日(日)13:30-17:30
■費用:一人 4,000円(税抜)
    ※持ち帰りいただく花材費がふくまれます

■会場:編集工学研究所「本楼」(世田谷区赤堤)
■対象:楼主セイゴオに花と歌をおくりたい方ならどなたでも

■内容:【みる】花のデモンストレーション、【ならう】歌のレクチャーとワーク、
    【まねぶ】花と歌の手向け体験。+自然栽培新茶と菓子のもてなし、ほか 
■持物:メモと筆記用具(ある方は筆ペンも)お花と本を持ち帰れる袋をご持参ください
■申込締切:5月8日(木)18:00

 

★お申込はこちら★

  • 大音美弥子

    編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。