この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

第86回感門之盟は田中優子学長を擁して開催する初めての感門之盟となる。[守]の卒門式と花伝所の放伝式を同時に行うのも初だという。進行も、これまでとは一新し、いきなり総合司会のメッセージで始まった。つとめるのは、今期、42[花]の花伝錬成師範を終えた牛山惠子と54[守]の師範とAIDA師範代をダブルロールした奥本英宏だ。初めてコンビを組むふたりは、それぞれ赤と青を基調に装い分けて、準備万端といった笑顔で並ぶ。
86回感門は「EDIT SPIRAL」を掲げる。スパイラルといえば渦、ウズといえば鳴門の渦潮または・・?物体が回転して発生する螺旋状のパターンを渦、うず巻きなどとも言う。奥本は、[守]と花伝所の2つのコースを寿ぐ声と、感門之盟に集った参加者の情熱と思いを巻き上げながら、素晴らしい明日への編集へと向かいましょう、との言葉で場を温めた。
初めての和装だという牛山の髪は、テーマ「EditSpiral」に因み、ねじれたピンで留められて、生まれた時に母親が求めておいてくれたという大きなガーネットが指に光る。新しいイシスを作ろうという本気が滲むいでたちだ。いつもの感門よりも参加者に着物姿が多いように見えるのは、田中優子学長の影響だろうか。
54[守]は各教室の汁講も本楼を使わず、卒門して本楼で会うことが目標だったという。本日の本楼は満席だ。満を辞しての時を過ごす参加者を迎える誇らしさに溢れた総合司会は、「全員で格別の一日を作りましょう」と、メッセージを結んだ。
安田晶子
編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。