【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ

2024/11/12(火)12:00
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 「鎌倉アカデミア」は、イシス編集学校のアーキタイプである。
 大塚宏(ロール名:せん師)、原田祥子(同:お勝手)、角山祥道(同:み勝手)の3人は、12月2日に開講する勝手にアカデミアの準備を夜な夜な進めながら、そのことを確信した。
 ここにはたしかに、「学び」のモデルがあった。
 ここに、せん師・大塚の思いが重なる。

私の住む横浜市栄区は、「鎌倉アカデミア」が終焉を迎えた大船校舎のあったまちです。34年住んでいる私にとっては、家族を育み、コミュニティ活動に取り組んできた場所であり、トピカを得たトポスです。「鎌倉アカデミア」を初めて知った時、教師も学生も熱く一緒に学びあう関係があったことに強く惹かれ、居住地の遺産だと思いました。当時やむにやまれぬ思いでその場を作り育てた人々、その場を大切に慈しみ、その後の日本文化を育てていった人々の存在を知りました。これからの時代に再び学びあう共同体を作りたいと思います。(せん爺/せん師・大塚宏)

 

 だがもちろん、【勝手にアカデミア】は、「鎌倉アカデミア」を勉強する会ではない。「鎌倉アカデミア」から「トポスをイキイキとさせるモデル」を取り出し、自分たちで現代のトポスを構想していく場である。

「住まいはどこ?」って聞かれるの、ホントいや。「福島」っていったあとのリアクションが特に。しかも私の周りには「ここには文化が育たない」とか「中途半端だよな」って嘆いている人も多いし。それってここだけが特別じゃなくて、どこの地方も抱えている問題のひとつに過ぎないとも思うの。今は何でも「多様性」で括られるから、みんなどうしていいのか分からなくなってるんだよ、きっと。だから、せん爺(大塚宏)から「鎌倉アカデミア」っていわれたとき、ちょっとわくわくしちゃった。だって「終戦後に創設された」ってあたり、今の東北や能登と似てると思わない?(お勝手・原田祥子)

 

 「鎌倉アカデミア」は、戦後の「なにもない」ところ生まれた。「ここには、なにもないからなにもできない」と諦めている人たちにとって、「鎌倉アカデミア」モデルは、ひとつの灯になるはずだ。

 

 「鎌倉アカデミア」校長の三枝博音(思想家)は、学び舎の中心理念に「楽しさ」を掲げた。三枝のいう「楽しさ」は、楽するとか、馴れ合うとか、そういうことではない。場に集った人間が、ロールに関係なく、学び、交わしあい、高めあうことを「楽しさ」と捉えた。これは、【勝手にアカデミア】の目指すところだ。

 

自分の性格を信じる者はアカデミアに来い。その性格を教授と学生が相拠って相互に鍛え、各自の個性を創造するところが、わが学園である。(三枝博音「入学案内」より)

 

トポスを信じる者、学びを信じる者、文化を遊びたい者は、【勝手にアカデミア】に来たれ。いま「なにもない」「なにかが足りない」と思う者は、【勝手にアカデミア】で学びたれ。

 


多読アレゴリア・勝手にアカデミア


【定員】20名
【開講日】2024年12月2日(月)
【申込締切日】2024年11月25日(月)
【受講費】月額11,000円(税込)
*2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
 1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【開催期間】2024冬 2024年12月2日(月)~2025年2月23日(日)以後順次決定

お申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/765


文:み勝手(角山祥道)
アイキャッチ画像:勝手にアカデミア×山内貴暉

 

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    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。