【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手にトポスで遊び尽くす

2024/11/11(月)18:00
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多読アレゴリアWEEK開催中!!!!!
12月2日のオープンに向けて、全12クラブが遊刊エディストを舞台に告知合戦を繰り広げます。どのクラブも定員に届き次第、募集終了です。すでに締切間近のクラブもいくつかあるので、希望のクラブに絶対入りたいという方はお早めの申込をオススメします!!!!!


 

 私たちは「トポス」を欲している。
 例えば日本人はこれまで、枕詞という装置で場所のイメージを集積・共有・記憶してきた。芭蕉は枕詞を訪ねて『おくのほそ道』を編み、近松門左衛門は大阪でこそ花開き、吉原という悪所は蔦谷重三郎を育てた。場所にはその場所になるべき何かが備わっていて、何かを想起させる。トポスは創造の源なのだ。松岡正剛いわく、思想文化には「場所(トポス)」が必要だ(『読む力』)。

 

 戦後の鎌倉には、間違いなく「トポス」があった。鎌倉というトポスの中から立ち上がった学び舎が、「鎌倉アカデミア」だ。
 第二次世界大戦後の、文字通り「なにもない」世界。衣食住に事欠く中で、人々が欲したのは「文化」だった。消えかかっていた日本の文化・思想を取り戻すべく、鎌倉在住の名士らが立ち上がり、学び舎をつくったのだ。それが昭和21年に開校した「鎌倉アカデミア」だ。佐藤優が「重要な知的遺産」(『読む力』)と評価する自由な学び舎だ。
 同校は資金難などの理由で、わずか4年半で閉じられたが、ここから作家・山口瞳をはじめ、作曲家・いずみたく、放送作家・前田武彦、映画監督・鈴木清順など、数多の才能が世に打って出た。
 なぜか。
 
 その「なぜ」を“勝手に”問うて、“勝手”に遊び尽くすのが、多読アレゴリアの「勝手にアカデミア」だ。
 そもそも、イシス編集学校は「型」を重視するが、これは「鎌倉アカデミア」校長だった思想家・三枝博音から、松岡校長が学んだことだった。「鎌倉アカデミア」では、教授陣と学生が、電車の中で、喫茶店で、教授宅で、時と場所を選ばず考えを交わしあったが、これはイシス編集学校の<教室>の先取りだ。「鎌倉アカデミア」はイシスのアーキタイプだったのだ。「勝手にアカデミア」で交わしあうことは、別様のイシス体験でもある。

 

 「勝手にアカデミア」の中身を少しだけ紹介しよう。

(1)鎌倉アカデミアの4科(文学科・演劇科・産業科・映画科)を、世の中を切り取る4つの方法とする。
・4つの視点で、現代のトポスを語り直したら?
・4つの切り口で、現代のトポスをメディエーションしてみたら?

 

(2)鎌倉アカデミアが重視した観劇や吟行などの「体験共有」を現代に再現。
・遠方でも参加できる「ZOOM俳句ing」
・見終わったあとが勝負の「勝手にZOOM映画会」

 

(3)鎌倉アカデミア×イシスの方法でトポスと現代社会を語り直す。
・伝説の破の稽古が“勝手に”復活(破師範代がディレクション)
・鎌倉とトポスを使って“勝手に”守の型を深掘り(守師範がナビゲート)

 

 ジャン=リュック・ゴダール監督の映画『勝手にしやがれ』。冒頭、主人公のミシェルは、盗んだ車で駆けながら、突然、観客に向かって吐き捨てる。
「海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、田舎が嫌いなら、勝手にしやがれ!」
 トポスの裏返しだ。
 沢田研二は、背中で彼女を送り出し、この場所に戻ってくるならいつでもいいよと歌った。サザンオールスターズの桑田佳祐は、「今何時」とふざけた調子でトポスを叫んだ。

 

 私たちはいつの間にか、「トポス」を失いつつあるのではないか。
 トポスとは情報が宿る極小の場所のことである。「勝手にアカデミア」は、「トポス」を取り戻したい人間を歓迎する。“勝手に”学びあう者はもっと歓迎する。

 


多読アレゴリア・勝手にアカデミア


【定員】20名
【開講日】2024年12月2日(月)
【申込締切日】2024年11月25日(月)
【受講費】月額11,000円(税込)
*2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
 1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【開催期間】2024冬 2024年12月2日(月)~2025年2月23日(日)以後順次決定

お申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/765


文:み勝手(角山祥道)

アイキャッチ画像:勝手にアカデミア×山内貴暉

 

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  • 角山祥道

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。