この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!そのなかからエディスト編集部メンバーが厳選した、もう一度読みたい注目の”今月の推しキジ” をお届けしています。
今回は少しさかのぼります。7月に公開された記事の中から、選りすぐりを紹介していきます。そして、渦チームから大濱朋子さんが選者として初参加。今年[離]を終えたあとは、連載「石垣の隙間から」がまた再始動していますよ。
では、7月の推しキジ発表!!
「編集工学」に限らずですが、ある概念や考え方は、単に胸の中に大切にしまっておくのではなく、概念を実際に誰かに伝えたり、その考えを実践してなんぼ、というところがあります。
この記事では、ISIS co-missionのお一人でDOMMUNEを主宰されている現”在”美術家の宇川直宏さんが、生成AI以降の表現では、編集工学の考え方が新しい意味をもつ時代になってきている、と明言されています。
詳細は記事をご覧いただくとして、宇川さんのこうした姿勢や実践に学ぶことが多々あるなと思い、ISIS co-missionの方々の活動とともに多くの方に注目いただきたくピックアップしました。 ── 上杉 公志
マツコ’s Plus One!?
宇川直宏氏が特別講義「編集宣言」を2024年1月に担当。
第54期[守]を受講すると、宇川氏の!!!!!炸裂な講義を聞くことができますよ~
詳細:
生成AIの時代にいま、もとめられる「創造的思考力」を培う。オンラインで編集を学ぶ「イシス編集学校」10月28日に基本コース開講
ー 長期連載の凄みでPick!
2019年9月にスタートした遊刊エディストは5周年を迎えました。ここにきて創刊時から連載を続けているエディストライター皆さんの胆力に一際目がいきます。7月はエディストの大功労者お二人をPickします。
毎回楽しみな「編集かあさん」松井路代さんの連載。ついに50回を越え、編集かあさんと長男は九州の旅へ!創刊時からのエディスト一読者としては、長男の成長に思わず目頭が熱くなりました。長期連載シリーズならではの時間の流れと重みを感じた記事でした。
花伝所と並走しながら毎週連載を必ず届けてくださったのは深谷もと佳花伝式部。41[花]ではあまり明るみになることのない師範の方法にスポットライトを当て、週を追うごとに考察は深みを増していくようでした。「凸と凹は互いに残響しあう面影どうし」という見方にはハッとしましたが、それ以上に文中に小さく記述された「むしろ“コーチング術”を切実に求められるのは「師範」ではないでしょうか」という一文に視線が吸い寄せられました。 ── 後藤 由加里
既存の仕組みの再編集に向き合う時【輪読座「『太平記』を読む」第四輪】
毎月最終日曜日13:00にスタートする輪読座では、編集工学研究所のメンバー以外に輪読娘として福井千裕師範代、宮原由紀師範代がスタッフとして活躍している。会の進行に関わりつつ、エディスト記事としてレポートもしている。講義内容に盛り込まれていない外部情報も盛り込みながらの充実した記事が持ち味の宮原由紀師範代が、軽快にJUST記事としてアップしたのがこれ。厚く濃くも、速く軽くも書ける力量を示してくれている。輪読娘にも会える輪読座、10月からは「日本書紀・古事記合わせ読み」が始まる。 ──吉村 堅樹
マツコ’s Plus One!? 今期の輪読座はこれ!!
輪読座 「『古事記』『日本書記』両読み」?
10月27日開講、毎月1回、2025年2月までの全6回シリーズですよ!
え?両方読めちゃうのですか?
詳細/お申込はこちらをご覧ください
4 チーム渦 大濱’s 推しキジ!
─ 禁断の扉オープンでPick!
丸洋子さんの最新編集用語辞典です。本シリーズを心待ちにしているイシス編集学校内のファンも多いことだと思います。編集学校に入門し最初に『勧学会』という言葉に出会うのは、[守]の開講当日でしょう。ここは点呼場所に指定され、入門者が初めて声を上げる場所になります。漢字が読めなかったり、ちょっとしたアクシデントがあったりした、当時の記憶も懐かしく蘇りました。
そして折しも、9月14日・15日に行われた番期同門祭を前に、10期から最新の[守][破]教室で、一度は施錠された勧学会の禁断の扉が開かれました。丸さんの深いコンパイルとエディットにより生まれた重厚な編集的世界観を地にすれば、法然、源信、保胤、空也の如き時代を超えたイシスのコレクティブ・ブレインもじっとはしていられなかったことでしょう。限られた時に、明明とあかり灯るアジール。ここから生まれる、いくつものanotherが愉しみでなりません。 ──大濱 朋子
以上、2024年7月の記事から、エディスト編集部の”イチ推し” を厳選してお届けしました。
みなさんのオシは、見つかりましたか?
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
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イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。