【追悼・松岡正剛】「共読」の学校で「本の連」をつくりたい(ほんのれん編集部)

2024/09/29(日)08:54
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本楼の最奥部に陣取った松岡正剛がゆっくりと話しはじめた。

「ほんのれんには、本と遊ぶことのすべてが詰まっている」。

 

天井まで積まれた2万冊の本と、4人のほんのれん編集部が一言も漏らすまいと聞き耳を立てる。本棚の奥から響く声は、こう続いた。

 

「コカ・コーラを売るならば、ボトルのデザインに凝り、CMでは海辺の光景を見せ、アメリカ最大のイベント・スーパーボウルとタイアップする。編工研は、本に対してそれくらいのことができるんだから。ほんのれんには、それが託されているからね」。


松岡正剛は「本」の力を誰よりも知っていた。薄っぺらい紙に記された小さな記号を読むことが、世界を転覆させうるラディカルな編集行為だと世に示したアナーキストだった。そして、最大の武器は「共読」なのだと、徒党を組んだ札付きの危険人物だった。その旗印に集ったのが、私たちイシス編集学校の学衆である。

 

本を読むとは、

本来はつねに社会変革の風を孕むものだ

1661夜『江戸の読書会』

 

江戸の私塾は「会読」という方法があった。幕末の志士たちは、よく読み、よく行動した。さて、「共読」の学校で学ぶ私たちはどうすべきなのか。

 

イシス編集学校の母体である編集工学研究所では、共読の文化をこの社会へと広めていく運動を進めている。それが「ほんのれん」プロジェクトだ。

ほんのれんラジオでは、イシス編集学校 世界読書奥義伝[離]を退院した4名(仁禮洋子、山本春奈、尾島可奈子、梅澤奈央)が松岡正剛を偲ぶエピソードを配信した。松岡正剛に学んだことを語りあい、現代日本に「本の連」を生み出すべく奮闘するようすを、ぜひお聞きいただきたい。

 

 


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  • ほんのれん編集部

    編集工学研究所×丸善雄松堂が提供する一畳ライブラリー「ほんのれん」の選書やメディア制作を手掛けるメンバー。関西弁で跳ねるデザイン知カンガルー・仁禮洋子(ニレヨーコ)、小鳥の風貌ながら知的猛禽類な山本春奈(はるにゃ)、昭和レトロを愛する果敢なコンパイル亀・尾島可奈子(おじー)、2倍速で情報収集する雑読チーター・梅澤奈央(ウメコ)ほか。ほんのれんラジオは毎週水曜更新中。ほんのれん編集部公式noteにこれまでのアーカイブを蓄積してます。https://note.com/honnoren/

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。