BSE通信Vol.2 盆栽の松丸、松丸の盆栽(大野哲子)

2024/08/15(木)12:00
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第84回感門之盟「25周年番期同門祭」で”伝説の松丸本舗”が限定復活します。仕掛け人はブックショップエディター(BSE)の皆さんです。ブックショップエディター(BSE)とは、松丸本舗で大活躍した本のコンシェルジュ。大音美弥子、森山智子、大野哲子、川田淳子、小川玲子、5名のBSEが感門之盟に向けて準備の様子をリレー形式でお届けします。


 

どうも。ご無沙汰しております。BSEのおおのです。

25周年番期同門祭に向けて再集結したBSEの面々ですが、「『ミニ本殿』を作ろう!」とのことでキリキリ舞いで選書しております。(今しがた終わりました)

 

 

松丸本舗の見取り図(上)と本殿(下)

 

幸いなことにオープン当初のリストはありましたので、それを参考にしつつそこから現在入手可能な千夜本を調べたりして。1巻あたりMAX200冊くらいで…ということなのですがね。これでも当初よりは増えたのですが、それでも少ないんですよ。私は6巻の「茶碗とピアノと山水屏風」(主に芸術分野)担当なのですが、元のリストの冊数、何冊だと思いますか?

 

7100冊です!!ドーン

 

これを200冊以下に圧縮するんです。ちょっと何言ってるかわからないですね…

文字数で7000文字となったら、そこそこ読み応えありますよ? それを1ポストくらいに収めろと。おお、試される要約力。

さらに選本は「購入可能な本」のみなので、欲しい本が入れられるとは限らない。キーブックも既に絶版になっているものも多いです。キーブックなのにない悲しみ。

また、松丸は本棚に文脈もありますからね。本棚の見出しは目次にもなるのであります。

 

2009年松丸本舗での配架の様子

 

そして全体の文字数(冊数)から目次の章構成を考えて、おおよその割合を決めたら、キーブックや文脈からキーワードに当てはまる本を探してと…

この辺り、長文派か短文派かで選び方も違うと思うのですが、私の場合はとにかく数を集めてあとで精査して削ります。

はい、長文派ゆえに200冊にするのに500冊集める人です。あれもこれもそれもどれもと連想して寄り道してかき集めるのですね。

集めるのは楽しいんですよねぇ。「これもあり」の遊びは楽しい。しかし遊ぶためには、土台ありきの守破離でございます。

その土台となるのが「キーブック」という主役。バシッと決め台詞を言い放ちます。そして集めた本を使って、その周りを彩る配役のオーディションも開くのでした。

装丁という見た目、単行本か文庫新書かという身長体重、作家や出版社という血筋や所属、入門書か専門書かというキャラクター、さらに本体価格というギャラ(当日販売もするので高すぎて売れないのも困る)…随分と生々しくなってきましたね(笑)

 

「いやもうここはキーブック1人に任せよう! 次! あああ、この人入れたいのに本がこれしかないっ!!」という脚本と演出を一人でこなす苦渋極まりない時間が始まるわけですよ。世の作家の皆様方の苦労がうかがえます…

とはいえ、選定は剪定。盆栽を造るようにどこを切るか伸ばすか形を整えるか。要約と連想を繰り返して、徐々に棚の形を創って参ります。

今回は冊数少なくて遊びも出せず難しかったなぁ。連歌のようにうまく流れた気もしないのですが、久々に編集エンジンフル回転でした。

さて何とか既定の文字数(冊数)に収めまして、無事(?)裏木戸をくぐり抜けました(←良い子はマネしないように)。

手放してさえしまえばあとは野となれ山となれ。

 

本のコンシェルジュBSEメンバーたち

 

まぁこの後は実際に発注しても在庫がない本があったりして、配架する時に役者にドタキャンされ代役で取り繕う、話の筋を変える…という幕開けてからのてんやわんやもきっとあるわけですがまたそれは別のお話…

同じお題でも師範代によって応接が異なるように、BSEもそれぞれの方法で選本されていることでしょう。

これはおおのの場合ということで、当日他のメンバーに聞いてみるのも話題の一つかと。ええ、私も知りたいです(笑)

ということで、当日の本殿がどうなっているか。みなさまどうぞお楽しみに!

 

文:松丸本舗 ブックショップエディター 大野哲子

アイキャッチ・本文画像提供:松岡正剛の千夜千冊

 


■イシス編集学校 第84回感門之盟「25周年 番期同門祭」

 開催日:2024年9月14日(土)・15日(日)※開催時間は12時前後を予定しています。

 会場 :netone valley(ネットワンシステムズ イノベーションセンター)東京モノレール「大井競馬場前駅」徒歩2分

 

▼お申し込み
 ◎53守、52破、41花、16離のみなさんはコチラ
  https://shop.eel.co.jp/products/detail/750

 ◎OB・OGの方はコチラ
  https://shop.eel.co.jp/products/detail/748

 ★お申し込み締切★
  2024年8月28日(水)


▼参加費
 一般:10,000円(税別)
 未入門/ご招待:5,000(税別)

 ※2日間の通しチケットです。当日のドリンク、おやつ等は無料です。25周年記念冊子、ISISバッジ等のプレゼントがあります

 ※小学生以下のお子様は無料です。お子さんの名前を「お問い合わせ欄」にご記入ください

 ※未入門のご家族やご友人もぜひ一緒にご参加ください。メイン参加される方に紐づいた申し込みページからお申し込みください。

 ※会場入場にはQRコードが必要になります。QRコードは別途ご連絡します。

 

★松丸本舗の注意事項★

 当日は「現金のみ」のお取り扱いとなります。千円札の不足が予想されるので、両替してご来場ください。

 


 

▼第84回 感門之盟番期同門祭 BSE通信

 Vol.1 松丸ごっこ(森山智子)

 Vol.2 盆栽の松丸、松丸の盆栽(大野哲子)

 

▼第84回 感門之盟通信

 Vol.01 25周年記念大感門!9/14(土),15(日)開催

 Vol.02 タイトルは「25周年 番期同門祭」

 Vol.03 松丸本舗 限定復活!

 

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。