本楼に尺八の音が響く~中村明一著『日本音楽の構造』刊行記念対談開催決定!

2024/06/12(水)08:09 img
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本と音楽は相性がいい。

音楽を聴きながら本を読む人も多いだろう。読書と音楽の相性だけではない。本のある場と音楽も、またしっくりくるのだ。

 

2万冊を超える日本に関する本が並ぶ「ブックサロンスペース本楼」。本楼ではこれまで多くのイベントが行われてきた。トークイベントはもちろん、文楽、三味線、落語、舞踊、バイオリンなど多彩なゲストがそれぞれのワザを披露してきた。そして今回、本楼に尺八の音が響くイベントが決定した。

 

大学で量子化学を専攻したという異例の経歴をもつ尺八演奏家、作曲家の中村明一氏。松岡正剛が「ぼくが大好きな尺八の名人」とイチオシする中村氏が、2024年3月に『日本音楽の構造』を上梓した。

そのあとがきには松岡への謝辞が綴られている。

 

松岡正剛氏から日本の音楽について、全体的なものの見方について大きな教えを受けています(『日本音楽の構造』あとがき)

 

中村氏たっての希望で、刊行記念イベントの対談相手としてご一緒いただきたいと、松岡に熱いラブコールがあったのだ。

それであれば会場は本楼で、と『日本音楽の構造』刊行記念対談が実現した。

 

『日本音楽の構造』は、中村氏の長年の研究を集大成した日本音楽論の決定版である。

中村氏は、特殊かつ根源的な日本の音楽こそが世界の音楽の到達点であり、未来を指し示す音楽だという。

そこには、日本の風土や言語、身体などの日本音楽が成立する条件を検討したうえで、「倍音」をはじめ「リズムの自由性」「根源的要素の使用」「間」といったキーワードを基にした独自の方法論によって、神楽、雅楽、能から瞽女唄、浪曲、民謡、アイヌ音楽、沖縄音楽、そして現代のJ-POPまで、あらゆる日本の音楽をくまなく分析してきた中村氏の蓄積がある。この分析の細やかは、千夜千冊1492夜『倍音』でも示されている。

 

イベント当日には尺八演奏はもちろん、中村氏が用いた周波数解析をその場で実演も行うという。

本書の内容をさらに広く展開し、脳科学、文化人類学、物理学、現代思想なども入り混じりつつ、日本音楽の根源的な価値を見つめ直す一夜になるだろう。

 

日本音楽に西洋音楽、身体、科学、人類学などの多様な世界知との間が開かれる特別な場。

この機会をぜひ見逃さないでいただきたい。

 

お申込みはコチラ

 

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中村明一著『日本音楽の構造』刊行記念対談

中村明一×松岡正剛
「日本音楽の根源的価値と指し示す未来を語る」

 

■日時:2024年7月5日(金)19:30−21:30(19:00受付開始)

■出演:中村明一(尺八奏者、著者)

    松岡正剛(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長)

 

■参加費:リアル参加 5,000円(税込み5,500円)

     オンライン参加 4,000円(税込み4,400円)

■会場:リアル参加:編集工学研究所 ブックサロンスペース「本楼」(世田谷区赤堤)

    オンライン参加:zoomウェビナー

     お申し込みの方にzoomアクセスキーをお送りします。

 ※リアル参加もしくはオンライン参加のどちらかをご選択いただけます。

■定員:会場参加(30人限定)

    オンライン参加(無制限)

 

■参加資格:どなたでもご参加いただけます。

■参加特典:お申込者限定のアーカイブ動画あり(視聴期間:1週間程度)

■申込締切日:2024年7月4日(木)13時

■お問合せ:アルテスパブリッシング info@artespublishing.com

      編集工学研究所 front_es@eel.co.jp

■主催:アルテスパブリッシング、編集工学研究所

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  • 衣笠純子

    編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。