与件の内側と外側─教室名フライヤー発表─【52守伝習座】

2023/10/04(水)20:20
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この秋、インボイス制度が開始された。本来は消費税導入と同時に開始されるべきものだったという声もある。時間をかけて段階的に納税のシステムが整えられたと考えれば、これは社会が用意したひとつの物語だともいえる。

 

本来、物語には階層がある。時計が時を刻むような一定のリズムでは進まない。複数の物語が入り組んで同時に動いている。目の前の出来事をどう読み取りどう伝えるのか。それは「誰が誰に、なにを届けたいのか」によって、語られなおすべきものだ。

 

感門之盟「冠界式」で教室名を授かった52[守]の師範代たちは、教室の世界観をビジュアル化しフライヤーを作成した。「教室名」がもつワールドモデルを、編集的方法をつかって語りなおしたのだ。

 

「編集は与件から生まれるというのはどういうことか」レクチャーする吉村林頭。

 

教室名フライヤー作成というお題には、「内側の与件」「外側の与件」があるという。

 

フライヤーとしての機能をはたしているか。教室名が表している世界を引き取っているか。イシス編集学校の守という講座、そのなかの教室という包含的な階層を想定できているか。ここまでが「内側の与件」だ。

 

石井晴美師範代/変速シフト教室

歩行的思索を意味する校長の言葉「思速」をベースに、自身のバイク数寄を凝らし変速を表現した。

 

さらに、社会問題を背景にしたり旬の話題を差し込んだり、教室と社会をつなげるインターフェースとしてフライヤーを機能させたい。「外側の与件」が社会と編集学校の接点をつくる。編集をまだ知らない誰かが、フライヤーを介して編集を探し当てることができるようにしたいのだ。

 

町田有理師範代/校長バージョン教室

コップの見え方がかわれば世界がかわる。編集の型をつかって世界の見方を動かす編集稽古の世界を表現。

 

 

まじめだけでは遊びが不足する。町田は教室名にちなみ裏バージョンを作成し、デュアルな世界観をあらわした。誰に伝えるかによって表と裏をつかいわける。

 

多様で多層な世界を物語るフライヤーを介して、それぞれの教室にたどり着くのはどんな学衆だろうか。

 

一様でリニアなインボイスのストーリーすらも内包する、ノンリニアな編集稽古の世界で、相転移的な創発を体験してほしい。

 

 

イシス編集学校 基本コース[守] 秋講座 〜受付中!〜

稽古期間 2023年10月30日(月)~2月11日(日)

家族割、U23割あります。

詳細・申込はこちらから 

https://es.isis.ne.jp/course/syu

 

  • 阿部幸織

    編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。