教室アイコンのもとに駆けつけよ!【51守開講】

2023/05/07(日)22:34
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 コロナ禍の行動制限から解放され、多くの観光地が賑わうニュースが飛び交った。3年振りに湧いた大型連休明けの初日に開講するのが、イシス編集学校の第51期[守]基本コースである。


 連休最終日、休みの終わりを寂しがる世間をよそに、真っ白な教室に師範代から颯爽とメッセージが届いた。編集の型を自在に使えるようする15週間の開幕の狼煙だ。


 「困っております」。数日前に、若水尽きぬ教室の師範代、吉田麻子からSOSがあがった。教室のラウンジアイコンがアップできないのだ。ラウンジアイコンは、エディットカフェにログインした学衆を導く旗印である。稽古を進めるために欠かせないしつらいのひとつだ。師範代たちは、各々の教室名に肖って、選りすぐったものを仕立てる。これが掲げられないと具合が悪い。


 連休にも関わらず、時を待たずに、方々から助太刀が寄せられる。師範の角山、阿久津に加えて、吉田と同じく用意に取りかかっていた師範代たちからもだ。斜月薫風教室の原田祥子、近場のダイモーン教室の畑本浩伸、五七五クノー教室の一倉広美が馳せた。「実は私も」と同じ問題に直面する師範代がいることも露わになる。数時間後、瑞々しい菱形の文様が若水尽きぬ教室に掲げられた。「今回も、たくさんの助けに感謝の思いは尽きません」という吉田の声が迸った。


 一人の事件に、仲間が駆けつけ、編集の機になり、追い風にもなる。イシスの光景は連休中であっても変わらない。51[守]の19教室全ての教室アイコンが揃い踏んだ。茶事において、亭主はその場の出会いを尊び、茶碗はもちろん、菓子、道具の一切、床の間の花や軸、あらゆる構成要素を入念に設える。しつらいが尽くされることにより、亭主のもてなしも、客人のふるまいも、いっそう場に引き出される。稽古の充実への祈りを込めて、師範代が掲げた教室アイコンに護られ、いよいよ51[守]の開講だ。

 

(文:阿曽祐子)

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。