この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

イシス編集学校は、インターネット上で学ぶ、松岡正剛が校長をつとめる世界で一つの方法の学校です。
編集稽古の面白さは体験してみなければ分からない。
でもどうやって体験していない人にその面白さを伝えればいいだろう。
そう考えてつくったのがこの「エディッ島リアルな体験ツアー」。
編集学校の《入門コース[守]》を島に見立て、稽古のプロセスをツアー仕立てでご案内しています。
まず、左上の【入門】をくぐると編集稽古スタートです。
【凡例】にもあるように、【黄色】が「教室」、さらにそこに【青色】の「勧学会」(かんがくえ)が併設されています。
センセイである「師範代」と、10人の「学衆」(受講生)は、教室でお題→回答→指南の「稽古」に取り組みます。「勧学会」では教室をまたいで、感想や稽古の成果を交わし合います。
◆合金と合コン? ネーミングも編集だった
最初の稽古ステージは用法1「わける・あつめる」。そして最初のお題は【001番:コップは何に使える】です。このお題は、言うなれば、コップを次々と「言いかえ」するだけの稽古なのですが、師範代から指南を受けると、あら不思議。
編集術の極意を垣間見たような気分になります。「言いかえ」「わける」「あつめる」という子どもから大人まで誰もが普段何気なくやっていることが実はコミュニケーションの本質に関わるスゴいことだったのです…。
次のステージの用法2「つなぐ・かさねる」では、例えばこんなお題が続きます。【
011番:ジャンケン三段跳び】【013番:合金と合コン】【015番:マンガのスコア】【018番:層なんです】。いかがですか。気になるお題はありますか。
ここで、もしみなさんが気になるお題があったなら、それはお題のネーミングに「編集」が効いているからでしょう。そして【013番:合金と合コン】はまさにネーミングを考えるお題です。ネーミングもタイトリングもキャッチコピーもこれ、すべて編集です。
◆稽古でバトル 本気の遊びが編集力をひらく
いよいよ後半戦。ふだんの編集稽古は平和で穏やかなものですが、用法2や用法3「しくむ・みたてる」では熱いバトルも繰り広げられます。教室をまたいで校内でアワードを競う「番選ボードレール」です。
第一回は、二つの漢字を「一種合成」し、新たな熟語をつくり、編集力を競います。第二回の「ミメロギア」は、珈琲・紅茶、漱石・鴎外、カフェ・サロンといった一対の情報に形容詞をつけて、新たな関係線をひくゲームです(例えば、「早朝の珈琲・午後の紅茶」「カフェのマスター・サロンのママン」など)。
いつの間にか子どもに戻ったかのようにムキになって、本気でアワードを狙ってのめり込む学衆が続出します…。けれども実は、これが大事なことで、本気の「遊び」からこそ編集力は発揮されるのです。
最後に用法4「きめる・つたえる」は、「言葉のシソーラス(類語や関連語)」を広げ、「ネーミング編集」に磨きをかけ、仕上げの編集に向かいます。「文体練習」にも臨みます。お題にそって回答すれば、誰でも有名作家の文体をマネできてしまうのがこれまた不思議です。
ここまで38番の編集稽古すべてに取り組めば、見事【卒門】! これでヘンシューの基本のキはOK! 入門コース[守]を修了すると、この先にはさらにめくるめく応用コース[破]が待っているというわけです。年表をつくり、物語を書き、プランニングを学びます。
さて、いかがでしたか。
「編集」というと、書籍・雑誌の編集や映像の編集を思い浮かべるかもしれませんが、すでにお分かりいただけたとおり、イシス編集学校で学ぶ「編集」はそれにとどまるものではありません。企画力や発想力をはじめ、わかりやすくいえば、コミュニケーションそのものを「編集」と捉えています。
イシス編集学校に入門して、あなたの奥底で眠る未知の才能、「編集力」に出会いませんか。
■イシス編集学校 第53期[守]基本コース
稽古期間:2024年5月13日(月)~8月25日(日)
応募締切:2024年4月28日(日)
URL:
https://es.isis.ne.jp/course/syu
■検討中なら、やってみよう
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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【続報】多読スペシャル第6弾「杉浦康平を読む」3つの”チラ見せ”
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。